検討会は建て替えが望ましいと提言 23年度から規模や場所を具体化
旭川市教育委員会は、年内に市民文化会館を建て替えるか大規模改修とするかの対応を決める。市民や有識者による検討会議は移転建て替えを有望とする意見を提言。市の方針が定まれば2023年度から改修規模または建て替え場所などの具体的な内容を詰めていく予定だ。
市民文化会館は1975年に7条通9丁目で供用開始。RC一部S造、地下1地上3階塔屋1階、延べ1万2394m²の規模がある。当初は老朽化対策の大規模改修を予定していたが、整備費の過大化により事業化が見送られてきた。
21年末には緞帳(どんちょう)が落下するなど設備の老朽化が著しいため、22年度から対策に向けた議論を再開。市民や有識者からなる「旭川市民文化会館の在り方検討会」が話し合いを重ね、11日に開かれた第5回会合で建て替えが望ましいとする意見をまとめた。
市の試算では建て替えの場合は90億―100億円と多大な事業費がかかるが、80年前後の長期利用が可能。一方の大規模改修は35億円の事業費で20年程度の延命しか図れないため、費用対効果の観点で多くの委員が建て替えを支持した。
さらに改修や現地建て替えでは1年以上の休館期間が生じることも懸念材料となった。特に1500席を有する大ホール相当の劇場・コンサート会場が100km圏内にないため、地域の文化活動の点でも長期休業のデメリットが大きいとみなした。
建設する場所については学会などコンベンション機能を鑑みて、現施設がある市役所隣接地の中心市街地のほか、文化施設の多い常磐公園近辺を望ましいとする意見が挙がった。施設のバリアフリー化、他施設との連続性確保も要望された。
今後の課題としてはホール規模のほか、複合機能を持たせるかという施設の形態も重要と指摘。市民の理解が得られる建物の整備プロセスを構築していく必要性も挙げられた。
市教委はこれらの意見を踏まえて年内に改修か建て替えかのおおまかな方向性を決める。23年度からは、改修の場合は改修範囲や整備手法の選定、建て替えの場合は移転先や規模・機能の検討といったステップに進みたい考えだ。