木を生かした意匠が評価
集成材や内装材などを製造する下川フォレストファミリー(本社・下川)が製作した足踏み式消毒液スタンド「樹々 JYU―JYU」が、道経済部主催の2022年度北海道新技術・新製品開発賞デザイン部門で大賞に輝いた。森林認証を受けた町産材を活用したスタンドの珍しさが評価された。同社は住宅需要の減少など苦境の突破口として、スタンドの普及を目指している。(旭川支社・中村 謙太記者)
FSC認証を受けた町産のトドマツやカラマツなどの針葉樹が原材料。木目が際立つような足踏み式スタンドとして製作した。

針葉樹の美しい木目を生かした
足踏み式消毒液スタンド「樹々 JYU―JYU」
消毒液を中に入れる扉の取っ手はクマゲラの形に切り抜いた。デザインは木目を生かし、スタンドの正面は町のイメージカラーである緑色に塗り、町面積の9割を占める森林の多様性を表現した。
スタンド上部には樹木やフクロウをモチーフとしたオプションを取り付けることも可能で、メッセージボードなどに活用することができる。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、全国で足踏み式スタンドが普及したことに目を付けた。「入室前の消毒が習慣化したが、木製のスタンドはほとんど見られない。潜在的な需要があるのでは」と大岡忠幸社長。町から受け取った交付金も活用しながら製造に励んだ。
審査では木でスタンドを作った珍しさや木目を生かした意匠が評価されたという。「まさか大賞になるとは思ってもみなかった」と二瓶敏幸常務も喜びを語る。
同社は集成材のほかフローリングや羽目板などの内装材を主に製造しているが、ウッドショックの影響もあり、近年は住宅需要が徐々に減少。新しい事業分野の確立が課題となっていた。「苦境を乗り越えるきっかけになれば」と大岡社長は意気込む。

盾を持つ大岡社長(左)と賞状を掲げる二瓶常務
既に町有施設に複数設置しているが、本格的な販売はこれから。まずは製品の魅力を伝え、徐々に関心を持ってもらいたいと考えている。
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