増収増益3社 大手ゼネコン4社の22年3月期第2四半期決算

2022年11月20日 08時00分

鹿島が売上高1兆円台 大林組の収益改善進む

 大手ゼネコン4社の2023年3月期第2四半期決算が出そろった。増収増益が3社、増収減益が1社だった。上振れの鹿島が売上高を1兆1000億円台に乗せ、本業のもうけを示す営業利益や経常利益、純利益全てで首位を走り、3社との差を広げる。大林組と清水建設は前年同期の工事損失引当金計上したことによる反動増で増益確保したが、収益改善が進み反転の兆しを見せる大林組に対し、清水建設は回復途上で横ばいにとどまる。利益率低下が止まらない大成建設は唯一減益に沈んだ。通期連結業績予想に対する売上高の進捗率は鹿島の46.8%を最高に、大林組45.2%、清水建設42.1%、大成建設40.6%の順となった。

 4社の連結売上高総額は15.3%増の3兆6063億2500万円に上り、4773億1000万円上回った。都市部の再開発案件や流通倉庫、半導体・医薬品の生産施設など民間建設投資の活況で施工量を積み上げたものの、受注時の低採算案件が重荷となるなど原価低減できず、売上総利益率は大林組を除く3社が下げた。

 連結営業利益総額は26.5%増の1403億5100万円、連結純利益総額は24.3%増の1230億3400万円とそれぞれ増加したが、石油・鋼材・セメント・木材といった原材料価格の上昇が増収効果を打ち消し、利益は低水準で推移する。売上高に占める販管費比率は3社が削減し下支え。清水建設と鹿島の5.9%を最少に、大成建設6%、大林組6.3%と続く。
 単体を見ると、受注高、完工高、完成工事総利益は鹿島、繰越高は大成建設が最も多かった。

 受注高は4社合計で2兆7153億8500万円と21.5%増えた。国内民間建築と官公庁土木は大成建設と鹿島が伸ばし、大成建設は海外土木も拡大。大林組は国内で大きく落ち込み、海外で健闘するが補えなかった。清水建設も国内が大苦戦したが、海外土木で埋めて微増を保った。

 完工高は国内民間建築が低調な大林組のみ、完成工事総利益は大成建設のみ後退した。

 完成工事総利益率は大林組が伸長したが、採算性悪化で3社が下降した。鹿島がトップを維持したが、建築・土木利益率ともに振るわず、前年同期の11.4%から10%に減らしたが、2桁台を守った。大林組は土木利益率回復が奏功して6.3%から9.4%と躍進。土木・建築両方上がった。大成建設は建築利益率が打撃を与え、9.8%から7.7%と2.1ポイントもダウン。清水建設は6.6%から5.7%と低迷した。建築は鹿島の8.7%、土木は大林組の16%が一番高かった。建築5%、土木8.9%の清水建設が最下位。

 繰越高は合計で7.6%増の8兆8536億200万円。大成建設が2兆6000億円台で筆頭。大林組と清水建設が2兆1000億円台とした。

 通期連結業績予想は、順調な受注・施工を推進する鹿島が上方修正。清水建設が据え置き、大成建設が売上高のみを下方修正。損益悪化を見越す大林組は売上高、各利益を下方修正した。連結売上高で大成建設が1兆7700億円、大林組が2兆450億円、清水建設が1兆9600億円、鹿島が2兆4300億円を計画する。

 一方で連結営業利益を大成建設が970億円、大林組860億円、清水建設715億円、鹿島1000億円をそれぞれ見込むが、予想に対する進捗率は鹿島57.4%、大林組48.6%に対し、大成建設が23.1%、清水建設が15.7%と悪戦苦闘する。今後、早期調達や生産性向上、設計変更への理解・交渉などの対策により、手持ち工事への影響を最小限に抑え、追加・好採算工事の獲得などで利益底入れ、好転を図る。

 北海道建設新聞2022年11月15日付2面には、各社の連結決算と単体の内訳をまとめた表が掲載されています。閲覧は新聞本紙をご覧ください。

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