開発局が実証実験 マーカー読み取り飛行

ARマーカー(右)を読み取って階段を飛行した
電波の届かない狭所もドローンの目で確認―。北海道開発局は17日、新得町の十勝ダムでドローンを使った監査廊点検の実証実験に取り組んだ。GPS電波が届かず、急勾配の階段がある監査廊を自動飛行し、撮った映像をAI技術が解析する仕組み。道内初の試みで、実用化すれば作業員の負担を減らし、迅速かつ安全な点検が期待できる。
監査廊はダム完成後の検査や測定をするため堤体内部に作った通路。十勝ダムでは延長370m、急勾配の階段が上りと下りで542段ある。現在は作業員が週1回、1時間かけて目視で点検している。震度4以上の地震発生時は臨時点検があり、迅速で安全な作業が求められる。
今回は600gのドローンを使用した。充電ポートから自動で離陸し、階段の始点と終点の壁面に貼り付けたARマーカーから方向や高度の指示を読み取って飛行し、充電ポートに戻る。秒速約1mのスピードで移動し、28.5mの階段をスムーズに移動。AIが検知した異常は映像上でマークを表示する。
道外ではことし、大林組が三重県の川上ダムでも同様の実験を展開。今回の実験にも協力したSpiral(本社・東京)の石川知寛CEOは「まだ急勾配の飛行など開発の余地はあるが、再現性は問題ない」と話す。
今後も飛行実験を進めつつ、AIを使った解析技術の検証に取り組む。開発局デジタル基盤整備課の新井貴司上席専門官は「スムーズに飛べて良かった。ドローンの活用により省力化や、より高度な点検が期待できる」と効果を実感していた。