室蘭と豊浦が12月から 西胆振6市町の除雪GPS導入状況

2022年11月21日 16時40分

登別は検討中 作業効率化を推進

 西胆振管内6市町の除雪へのGPS導入状況がまとまった。室蘭市と豊浦町が12月1日から運用開始する予定で、登別市が検討を進めている。伊達市、壮瞥町、洞爺湖町は現段階で導入を予定していない。室蘭市と豊浦町は受注業者へ端末を貸与し、豊浦町では積雪センサーで降雪量が基準に達すると端末に出動通知が自動送信される態勢を整える。

 除雪へのGPSは、作業効率化と住民サービスの向上へ道内各自治体で導入が進んでいる。恵庭市のようにホームページで市民にリアルタイムの進捗状況を公開している自治体もある。西胆振管内では室蘭市と豊浦町が現況に即したシステムを構築中だ。

 室蘭市は近年の降雪量増加に伴い迅速な作業を進めるため、2022年に導入を決めた。公募型プロポーザルによる室蘭市ASP型除雪管理システム導入業務委託を9月にナカノアイシステム(本社・新潟)と税抜き861万円で契約。同社に道路データを提供し、独自のシステム構築を進めている。一般公開は考えていない。

 受注業者に端末を貸与(対象は34社)し、除雪車やハンドガイド式の小型除雪機など119台に装備する。位置情報を使い市や業者がリアルタイムで進捗状況を確認し、作業日報も自動作成。収集データを分析し、次年度以降の作業に反映させることも検討中だ。

 室蘭市の阿部啓之土木課長は「市内は地形上、高低差のある所が多い。データの蓄積により今まで見えていなかったものが分析できるようになれば、対策を取ることができる」と期待する。

 夜間の除雪作業が基本となる豊浦町は、降雪量を確認するための人員確保が難しいこと、除雪車の詳細な位置を把握し町民からの問い合わせに対応することを導入の理由に挙げる。

 受注業者4社と市の直営を合わせ13台に端末を配備。町内10カ所に設置したウェブカメラと積雪センサーが30分ごとに情報を更新し、基準降雪量の10cmに達すると各端末に出動通知が自動送信される。一般公開は考えていない。

 国のデジタル田園都市国家構想推進交付金を活用し、7月に指名競争入札でワイズ公共データシステム(本社・長野)と税抜き1180万円で契約した。

 豊浦町の武石修建設課長は「21年度に除雪車に端末を付けて試行し、同じ路線上で作業していた車両が分かるなど位置情報の効果を実感した。広い町内で効率的に除雪を進めたい。これまでは夜に蘭越町との町界まで行って降雪量を確認していたが、カメラとセンサーで省力化できる」と話す。

 登別市は導入の可能性について6月から庁舎内で調査、検討を進めている。

 一方で、導入を予定していない伊達市の金子直記建設課長は「伊達地区は降雪量が多くないので導入の必要性は感じていない。ただ、ことし2月の大雪の反省点から大滝区以外の出動基準を『市が必要と判断した時』に見直した」と述べ、大雪に備え除雪体制の強化を図った。

 壮瞥町の沢井智明建設課長は「雪は少なくないが業者数が2社と少なく、町、業者間の連携が現行体制で十分取れている」と話す。

 洞爺湖町も携帯電話や無線を使った現行体制で管理できていることを導入しない理由に挙げている。


関連キーワード: ICT 胆振 除排雪・雪対策

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