旧双葉幼稚園建築から1世紀

 帯広市東部の住宅街、赤いドーム屋根が象徴的な旧双葉幼稚園園舎が完成から100年を迎えた。約4900人の卒園生を輩出し、2013年の第100回卒園式をもって閉園。17年には、十勝管内の建造物として初めて国の重要文化財(重文)の指定を受けた。現在はコンサートなどイベント会場としての側面を持つ。1世紀にわたる園舎の歩みと次の一世紀に向けた取り組みに迫る。(帯広支社・太田優駿、草野健太郎記者)

旧双葉幼稚園建築から1世紀(下)帯広のランドマークへ

2022年11月29日 10時00分

雰囲気生かし新たな活用 スピッツ演奏で話題に

旧双葉幼稚園舎内で演奏するスピッツのメンバーたち(WOWOW提供、田中聖太郎撮影)

スピッツが演奏するなど活用の幅は広がる
(WOWOW提供、田中聖太郎撮影)

 かつて園児の歌声が響いた旧双葉幼稚園舎は、100年間同じ場所で歴史を積み重ねた。国の重要文化財でありながら、地元の音楽家たちがコンサートを開催するなど積極的に活用されている。最近では衛星放送のWOWOW(本社・東京)が企画し、人気ロックバンド・スピッツが同施設で演奏。SNSでも話題となった。建物が持つ独創的な雰囲気を生かし、重文の活用方法として新たな可能性を示した。

 これまでも、絵画展や生け花展などを定期的に開いていた。だが2021年秋にスピッツが訪れたことで一気に注目を集める。

 旧双葉幼稚園舎で撮影したい-。施設の保全活動に取り組むオフィスK&K(本社・帯広)の川村善規氏は、連絡を受けて驚いた。WOWOWが企画したスピッツを起用する映像作品の舞台に選ばれた。

 場所はスピッツ側からの提案だった。ボーカルの草野マサムネさんは、十勝を舞台にしたドラマの主題歌「優しいあの子」制作時に十勝を訪れていた。帯広市内でのライブがコロナ禍で中止になったこともあり、思い入れが強かったという。

 WOWOWが重文で音楽番組を撮影した前例はない。内野敦史チーフプロデューサーは「ライブでもドキュメンタリーでもない、今までにない映像作品を作りたかった」と話す。

 内野チーフプロデューサーは、ロケハン時の印象を「かわいらしく、歴史を感じた」と振り返る。旧園舎が持つ雰囲気は、スピッツが奏でる音楽と良く合った。音響には苦心したが、この場所でしか出せない音として価値を高めた。「撮影は独特な雰囲気で、物語を見ているようだった」と回想する。

 メンバーからは「デビューから30年経ったにもかかわらず、新鮮な体験ができた」などの声があったという。番組「優しいスピッツ a secret session in Obihiro」と、その撮影記録は12月に再放送・配信する。

 川村氏は「全国各地からスピッツファンが見学に来て、来園者増加につながった」と放送後の反響に好感触を示す。いわゆる聖地巡礼の舞台として知名度が上がり、SNSでは十勝のスピッツファンと交流できたとの声もあった。

 川村氏は「帯広に来たら、まず旧双葉幼稚園舎に来てもらいたい」と願う。重文を活用した新たなモデルケースの一つとして可能性を示した。維持管理など課題は多いが、保全に取り組む人たちの思いは消えない。“優しいあの子”たちの歌声は、今も十勝に生きているのだ。


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