国産建設用3Dプリンターで造形 砂子組が道内初採用

2022年11月28日 17時01分

ゲル状モルタルを積層 将来は公共工事にも

 砂子組(本社・奈井江)は、国産建設用3Dプリンターで造形した構造物を道内の建設工事に初めて採用した。建設用3Dプリンターを国内で唯一手掛けるPolyuse(同・東京、ポリウス)の技術で、ゲル状モルタルを独自開発の3Dプリンターで積層することによりコンクリート同様の強度がある構造物を成形できる。将来的には道内公共工事への適用を目指す。

 ポリウスは、2019年設立の建設テックベンチャー。欧州などで建設に特化した3Dプリンター開発や工事適用が進む中、国産建設用3Dプリンターが開発されていない点に着目して研究を進めてきた。

 立方体状に組んだフレームの中で3次元データに基づいて吐出装置が自動で動きながら積層させるため、特別な操作は不要。造形物の素材はモルタルや水を気温などに応じて現場で調合させ、自重でつぶれない高い粘度を持たせる。吐出後すぐに固まって形作られ、最大で1.5mの高さまで積層可能だ。

ゲル状モルタルが吐出し、特有の模様を描きながら積層される

 21年に集水桝整備で実利用構造物の施工に国内で初めて成功し、ことし国土交通省四国地方整備局発注の集水桝整備を通じて3Dプリンターが公共工事で初採用された。土木を中心に本州、四国の工事で広がっている。

 道内初施工は、ミサワホーム北海道の分譲マンション「アルビオ・ガーデン南郷通」新築現場。加藤組(本社・広島県三次市)を通じて国産建設用3Dプリンターを知った砂子組は道内での可能性を探るため、発注者の協力で敷地入り口の塀に試行適用した。

 寸法は幅5m、高さ90cm、厚さ17cmで、幅を3分割にして神奈川県鎌倉市にあるポリウスの工場で17日に製造。あらかじめ本体に200mm間隔で穴を開け、24日に現場の基礎に立てた鉄筋に沿ってクレーンではめ込んだ。積層模様を平らにならす左官作業、タイルの貼り付けを経て完成となる。

3つのパーツに分けて製造し、敷地入り口の塀として施工した

 通常の現場打ちは5、6日かかるが、型枠などが不要な3Dプリンターだと3、4日の養生を経て設置可能という。現場代理人の鈴木一紀建築課長は「玉掛けの資格があれば設置できるため、職人の工程順序や天候に関係なく施工できる。工期を短縮し、職種も減れば労災が少なくなる」と期待した。

 ポリウスの岩本卓也CEOは「当社のマシンは小型なのが特徴で、施工業者が取り扱いやすい」と強調する。1m³当たり38万円という単価だが「3Dプリンターは値段勝負ではない。足りていない職人を最適配置し、工期を2、3日短縮するだけでも価値がある」と訴求した。

 25日には北海道開発局の職員11人をマンション現場に招いて施工見学会と3Dプリンターのデモを開催。財津知亨技術管理課長は「丸形も造れるとのことで、場所によっては可能性がある。職人が減る中、生産性を上げるツールになるのでは」と関心を示した。

 砂子組の真坂紀至企画営業部長は「こうした技術で早く施工できれば発注者も喜んでくれる。建設業界で市場変化をどう作っていくか」と話した。


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