北海道新幹線の開通から間もなく7年を迎えようという中、第二青函トンネルの整備を求める声が少しずつ広がりを見せている。札幌延伸を控える新幹線がその性能を十分に発揮できるようにするとともに、自動車による物流、観光の促進へ期待がかかる。青函トンネル開通から35年の節目となる2023年を迎えるにあたり、実現への道筋について青函双方のキーパーソンに見解を尋ねた。(4回連載します)
物流に多用途トンネル必要 全道、東北も巻き込み活動を
函館建設業協会は第二青函トンネルの整備を支持する団体の一つだ。21年には函館市内の建協事務所に実現を訴える看板やのぼりを設置するなど、PRに力を注いでいる。
同建協は現在の青函トンネルの貨物列車との供用走行による新幹線の速度制限や、コストの高い海上輸送に頼らざるを得ないトラック物流などの課題を指摘。森川基嗣会長は「トンネル自体も着工直後から見ると50年以上が経過し、老朽化対策も欠かせない。多用途の第二青函トンネルは必要」と強調する。
日本プロジェクト産業協議会(JAPIC)による構想「津軽海峡トンネルプロジェクト」では自動運転車専用道路と単線の鉄道貨物を併用する多用途トンネルを打ち出す。
事業費にはアクセス道路整備など関連事業を含め1兆円余りの膨大な金額を試算しているが「整備そのものだけでなく、物流や交流人口、観光などの消費の増加による経済効果も見込まれる」とみる。
「(世界文化遺産に登録された)縄文文化と同じく、北海道と東北地方の経済圏域が飛躍的に発展、拡大すると考えられる」と期待を寄せる。
施工に関しては「今も昔も危険と隣り合わせになっている状況に変わりはない」と指摘。ただ、トンネル掘削技術の向上や青函トンネル建設時のデータの活用などで施工の効率化や維持管理費の縮減、長寿命化の実現を図れると考えている。
「福島町には当時の施工に参加した町民が住んでいて、当時の経験を今も語るほど、携わった人々の誇りになっている。第二青函トンネルも夢のあるプロジェクトだ」とも話す。実現に向けては道南圏はもとより、道内全域、東北地方も含めた要請活動が不可欠であるとし、建協としても協力を惜しまない考えだ。