海峡をつなぐ第二青函トンネル実現の道筋は

 北海道新幹線の開通から間もなく7年を迎えようという中、第二青函トンネルの整備を求める声が少しずつ広がりを見せている。札幌延伸を控える新幹線がその性能を十分に発揮できるようにするとともに、自動車による物流、観光の促進へ期待がかかる。青函トンネル開通から35年の節目となる2023年を迎えるにあたり、実現への道筋について青函双方のキーパーソンに見解を尋ねた。(4回連載します)

海峡をつなぐ 第二青函トンネル実現の道筋は(1)函館建設業協会会長 森川基嗣氏

2022年12月08日 17時12分

 北海道新幹線の開通から間もなく7年を迎えようという中、第二青函トンネルの整備を求める声が少しずつ広がりを見せている。札幌延伸を控える新幹線がその性能を十分に発揮できるようにするとともに、自動車による物流、観光の促進へ期待がかかる。青函トンネル開通から35年の節目となる2023年を迎えるにあたり、実現への道筋について青函双方のキーパーソンに見解を尋ねた。(4回連載します)

物流に多用途トンネル必要 全道、東北も巻き込み活動を

 函館建設業協会は第二青函トンネルの整備を支持する団体の一つだ。21年には函館市内の建協事務所に実現を訴える看板やのぼりを設置するなど、PRに力を注いでいる。

森川基嗣会長

 同建協は現在の青函トンネルの貨物列車との供用走行による新幹線の速度制限や、コストの高い海上輸送に頼らざるを得ないトラック物流などの課題を指摘。森川基嗣会長は「トンネル自体も着工直後から見ると50年以上が経過し、老朽化対策も欠かせない。多用途の第二青函トンネルは必要」と強調する。

 日本プロジェクト産業協議会(JAPIC)による構想「津軽海峡トンネルプロジェクト」では自動運転車専用道路と単線の鉄道貨物を併用する多用途トンネルを打ち出す。

 事業費にはアクセス道路整備など関連事業を含め1兆円余りの膨大な金額を試算しているが「整備そのものだけでなく、物流や交流人口、観光などの消費の増加による経済効果も見込まれる」とみる。

 「(世界文化遺産に登録された)縄文文化と同じく、北海道と東北地方の経済圏域が飛躍的に発展、拡大すると考えられる」と期待を寄せる。

 施工に関しては「今も昔も危険と隣り合わせになっている状況に変わりはない」と指摘。ただ、トンネル掘削技術の向上や青函トンネル建設時のデータの活用などで施工の効率化や維持管理費の縮減、長寿命化の実現を図れると考えている。

 「福島町には当時の施工に参加した町民が住んでいて、当時の経験を今も語るほど、携わった人々の誇りになっている。第二青函トンネルも夢のあるプロジェクトだ」とも話す。実現に向けては道南圏はもとより、道内全域、東北地方も含めた要請活動が不可欠であるとし、建協としても協力を惜しまない考えだ。

 森川基嗣(もりかわ・もとつぐ)1946年8月18日生まれ、函館市出身。84年、森川組(本社・函館)社長。2012年から函館建協会長。

海峡をつなぐ第二青函トンネル実現の道筋は 一覧へ戻る

(この連載は函館支社・鳴海太輔、鈴木楽、舛岡雄介記者が担当しました)

ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • オノデラ
  • 古垣建設
  • web企画

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

藻岩高敷地に新設校 27年春開校へ
2022年02月21日 (2,968)
おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,342)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,303)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,242)
アルファコート、北見駅前にホテル新築 「JRイン」...
2024年04月16日 (871)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。