おとなの養生訓

おとなの養生訓 第244回 「寝室の明るさ」 深夜は暗く、朝方は明るく

2022年12月12日 11時18分

 皆さんは、どんな寝室で眠っているでしょうか?照明を一切つけない真っ暗な寝室でなければ寝付けない人がいる一方で、明るく照明をつけた寝室でないとだめだという人もいます。ホテルのように暗めの足元灯をつける人もいますし、照明は消しても、テレビをつけっぱなしにしてタイマーで消すようにしている人もいるでしょう。

 寝室の環境はかなり習慣化していて、その習慣通りでなければ寝付けないという人が大多数なのではないでしょうか。今は、サッカーのワールドカップが真っ最中で、ベッドの中で観戦している人も多いかもしれません。

 最近、寝室の明るさが健康に与える影響について、40歳以上の約3000人による大規模研究の結果が発表されました。まとめは、明るい寝室で寝ている人は、健康にかなりの悪影響を及ぼしているということです。

 特に、明るい寝室で寝ている人は、肥満気味であり、血液中の中性脂肪や悪玉コレステロールの値が高く、よく眠れない、早く目が覚めるなどの睡眠障害の人や、うつ症状を示す人の割合が高かったという結果になりました。

 就寝中に光を浴びているというのは、メラトニンなど睡眠に関係するホルモンのバランスを崩し、ひいては肥満、脂質異常、睡眠障害を引き起こすということが考えられます。したがって、寝室はなるべく暗くして眠った方が、睡眠の質が高まると期待できます。

 しかし、長年の習慣を変えることは難しいものです。普段、明るい寝室で寝ている人は、いきなり暗い寝室にすると、かえって寝付けなくなったりします。読書やテレビを就眠の習慣にしている人が、それをやめるというのも、難しいかもしれません。

 今回の研究によれば、睡眠中の明るさが問題のようですので、明るい寝室で眠っている人は、少しずつ明かりを暗くしていくのはどうでしょう。例えば、まず、照明を一段暗くする、照明をベッドから遠ざけるなどして、それを1週間程度続けて、慣れてきたら、さらに一段暗くする、などの方法が考えられます。

 ただ、朝は寝室が明るくなるようにしないと、睡眠のリズムが狂ってしまうことも分かっています。カーテンは薄めにして、朝日が入るように工夫しましょう。深夜は暗く、朝方は明るくというのが理想です。

(札医大医学部教授・當瀬規嗣)


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