海峡をつなぐ第二青函トンネル実現の道筋は

 北海道新幹線の開通から間もなく7年を迎えようという中、第二青函トンネルの整備を求める声が少しずつ広がりを見せている。札幌延伸を控える新幹線がその性能を十分に発揮できるようにするとともに、自動車による物流、観光の促進へ期待がかかる。青函トンネル開通から35年の節目となる2023年を迎えるにあたり、実現への道筋について青函双方のキーパーソンに見解を尋ねた。(4回連載します)

海峡をつなぐ 第二青函トンネル実現の道筋は(3)青森県外ケ浜町長 山﨑結子氏

2022年12月16日 10時00分

本道と青森側、機運に「温度差」 訪日客増で可能性も

 JAPICによる第二青函トンネル案で、青森県側のトンネル起点とされている外ケ浜町。山﨑結子町長は、県内での建設への機運は高まっていないとみている。

 2017年に初当選し、現在2期目。「町民と話をしていても第二青函トンネルに関する話題はほとんど出たことがない」という。「北海道側からすると、本州との接続が非常に重要だということもあり、道の皆さんは自分事としてこの事業を捉えられているのでは」と分析する。

山﨑結子町長

 福島町のように建設への機運を高めるような具体的な動きもなく、「よほどのことがない限り、このままだと思う」と続ける。

 第二青函より先に地元のインフラ整備が課題だ。県内の高規格道路は事業途中や計画段階の事業が多い。「トンネルはあったらいいと思うが、もっと先にやることがあるというのが、県内で盛り上がりに欠ける一番の理由だと思う。特に原発など国内のエネルギー生産の大部分を担う下北半島の縦貫道の優先度が高い」

 ただ「建設に反対する意図は全くない」とし、「青函トンネル完成から40年近くがたち、老朽化も激しくなっていると聞く。リスクヘッジの意味からも考えなくてはいけない。実際に工事が始まるなら歓迎すべきだ」と話す。

 では、建設には何が必要か。山﨑町長は予算確保を前提に、トンネルとつながる道路整備を挙げる。「町内の龍飛は国防の意味からも要所。青森市内から外ケ浜まで向かう道は県道と国道が一本ずつあるが、どちらもカーブの多い危険な道となっている」と現状を説明する。

 JAPIC案には、東北自動車道青森ICからトンネルに向かう約60kmの新規路線建設が盛り込まれている。トンネルが開通すれば、龍飛方面へのアクセス向上も望める。

 「訪日外国人は北海道を訪れることが多い。第二青函トンネルを契機に、そうした外国人が青森や東北にも来るというチャンネルはつくれるのでは」とトンネル開通が与える影響を考察する。

 山﨑結子(やまざき・ゆいこ)1981年6月21日、東京生まれ。17年の町長選に初当選し、2期目。

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(この連載は函館支社・鳴海太輔、鈴木楽、舛岡雄介記者が担当しました)

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