技能実習・特定技能外国人数は1万4660人
技能実習や特定技能の外国人が再び増え始めた。法務省が9日公表した2022年6月末現在の在留外国人統計によると、どちらかの在留資格を持つ外国人は道内に1万4660人と過去最多を記録した。日本政府が新型コロナウイルス対策の入国制限を春に緩和したことで人の往来が回復。本道経済界で、外国人の存在感がまた大きくなりそうだ。
昨年12月末時点では技能実習・特定技能は1万1640人で、半年の間に3020人、率にして26%増えたことになる。これにけん引され、短期滞在を除く在留外国人総数は半年で13%拡大の4万1048人となった。
総数の増加分4700人強のうち、技能実習・特定技能は6割強に相当。ほかの在留資格では留学が900人以上、エンジニアや通訳者などが該当する「技術・人文知識・国際業務」が200人強、外国料理シェフなどの専門職を指す「技能」も300人近く伸びた。
全国も傾向は同じだ。総数は半年前より約20万人多い296万人強で、コロナ前を超えて過去最高となった。技能実習・特定技能は8万9000人増の41万5000人でこれも最多だった。
札幌市内にある技能実習監理団体の担当者は「水際対策が3月以降緩和されて、それまで滞っていた入国が一気に進んだ。ここ数カ月はコロナ前の状態に戻ってきた」と話す。法務省が毎月公表する出入国管理統計によれば、2月までほとんどゼロだった技能実習・特定技能の入国が3月から急増し、4―5月にピークを迎えて徐々に正常化に向かっている。
道内在住外国人の出身国・地域を見ると、トップはベトナムで1万440人と全体の4分の1を占める。中国本土が8980人、韓国4090人、フィリピン2405人、インドネシア1757人、米国1298人と続いた。台湾も1006人いる。このうちベトナム、フィリピン、インドネシアは19年12月よりも1100人、110人、810人増えている。
コロナ前と今で大きく違うのが、為替市場での日本円の地位だ。日本円で受け取る給料の価値が相対的に目減りしている中、外国人が今後もこれまでと同じように日本に来るとは限らない。単に人手不足を外国人で補おうとする経営は、早晩見直しを迫られることになるかもしれない。
(経済産業部 吉村慎司)