エコ製品「CaMISHELL」(カミシェル)で環境に貢献
建設業の作業服・制服などを企画販売しているユニコロン(本社・北見)が音頭を取り、20社を超える道内企業が卵の殻を再利用した紙を使って環境貢献するプロジェクトが始まった。企業経営の中でSDGs(持続可能な開発目標)の重要度が増す中、比較的手軽に取り組める手法として注目される可能性がある。
ユニコロンの吉岡大社長が手にするのは、一般的なクリアファイルとほとんど同じ形状の書類挟みだ。異なるのは素材。食品メーカーなどで廃棄物となった卵殻を使う特殊な紙で、透明ではないため一部に穴を開けて中身が見えるようにしている。卵殻は年間約25万tが廃棄されているとされ、これを粉末にしてパルプと混ぜ合わせてリサイクルした「CaMISHELL」(カミシェル)というエコ製品だ。

卵殻からできた紙素材製の書類ファイル
供給元は埼玉の環境ベンチャー企業、サムライトレーディングで、製品名は同社が三菱製紙、Touchcard(本社・東京)、新生紙パルプ商事(同)と共同で商標登録する。吉岡社長は「自分たちにできる環境貢献を検討する中で見つけ、見積書などをまとめるファイルとしてまず自社だけで今夏に制作した」と振り返る。
廃棄物削減につながり、製品の趣旨を知った取引先からも好評価を得られた。ただ、やはり一般のプラスチックや紙に比べると単価が大幅に高い。そこで、統一デザインで複数社まとめて発注することによって単価を下げ、さらに参加する各社のロゴをファイル表面に印刷することで環境への取り組みをPRするのが今回のプロジェクトだ。
1万2000枚制作する計画を立て、秋口からユニコロンの取引先を中心に声をかけたところ、すぐに24社が集まった。荒井建設、三愛地所など建設・不動産業界に関わる有力企業が3分の1程度を占め、「メガネのプリンス」を展開するムラタなども参加を決めた。
注文枚数によって単価とロゴの掲載サイズが変わる。最も大口となる1000枚の注文だと税込み7万9200円。1枚79円強で、ロゴは最大だ。ほかには500枚、300枚とあり、300枚なら単価は1枚99円となる。官公庁や取引先への書類提出や、採用活動で学生に資料を渡すときなどに使われる想定だ。
ユニコロンは取りまとめ役で、収益の大半は日本盲導犬協会への寄付に充てる。「もうけはほとんどない状態だが、循環社会の実現に貢献することも企業の使命」(吉岡社長)。25社の統一ファイルは来年2月ごろに完成して社会に出回る予定だ。年明けには第2期制作の募集を始め、年に数回のペースでつくり続けたいとしている。
25社は荒井建設、三愛地所、渡邊清掃、西川工務店、今日和、騎西組、旭川一般廃棄物処理社、桑原グループ、臼谷興業、丸和青山工業、小林、ムラタ(メガネのプリンス)、三愛自動車工業、五洋商会、壺屋総本店、鈴与興業、三好メディカル、リードマーク工房、Aimパートナーズ総合会計事務所、森永酪農販売、アイトス、キッチンサービス、弘文社(ギフトショップピクニック)、環境大善、ユニコロン。