地産地消エネ活用、豪雪地帯走る デジタル技術活用し課題解決へ
特別豪雪地帯の岩見沢市北村で、地産地消のエネルギーを活用し、電気(EV)自動運転バスの公道走行実証実験が始まった。積雪寒冷地の雪道走行の安全性や障害物の検知、充電状況の確認をはじめ、高齢者の移動型ヘルスケアサービスの可能性を探る。人口減少や少子高齢化が急速に進む農業地帯の北村地域で、デジタル技術を活用した課題解決に取り組む。
22―24日の3日間で実証。岩見沢市のほか、岩見沢市内に本社を置く東光電機工業、はまなすインフォメーション、エミプラスラボの3企業と、自動運転バス走行に携わるマクニカ(本社・横浜)で構成する地産地消エネルギー推進コンソーシアムが実施した。
エネルギーに関するアドバイスで日立製作所、運行支援で岩見沢地区ハイヤー協会、自動運転車両提供で芙蓉オートリース、自動車保険・リスクアセスメントで損保ジャパンがそれぞれ協力している。
車両は仏NAVYA社製の「ARMA(アルマ)」で定員11人。時速18㌔で、高性能の3次元位置情報システムを使い、定められた経路を走行する。オペレーターが乗車し、北村支所を起点に高齢者福祉施設、北村中央地区自治会館の各ルートで走行した。
実証内容は、①EV自動運転バスの冬道公道走行②EV自動運転バスによる地域住民向け出張サービス③地域エネルギーの利活用―の3項目。
EV自動運転バスの冬道の公道走行は、降雪や雪壁への反応、障害物の検知、バッテリーの充電状況などを確認。取得したデータを分析し、オープン化や利活用を図る。
EV自動運転バスによる地域住民向け出張サービスは、高齢者福祉施設まで出向き、車両内で保健師による健康チェックや口腔チェック、民間事業者によるハンドケアサービスなどを実施。移動手段以外の利活用を探る。
地域エネルギーは、北村赤川鉱山施設で実証中の太陽光と温泉付随ガスを燃料に電気を発電するマルチ燃料エンジン(発電機)を利活用。EV自動運転バスに充填する設備を構築した。二酸化炭素排出量削減効果の分析や電力利活用による地域産業の低炭素化を検証する。
市情報政策部情報政策課の谷口正行課長は、冬道での安定した走行を踏まえ「さまざまな角度から次年度以降も実証を積み重ねたい。将来的に実用化できれば」と期待を込めている。