24―25年度に実証実験
札幌市まちづくり政策局は2023年度、都心と創成川以東を結ぶ新しい公共交通システムの検討に着手する。24―25年度には実証実験に取り組み、車両を公道で走らせる計画だ。区間は、路面電車延伸の検討対象だった都心―JR苗穂駅周辺間が有力候補とみられる。北海道新幹線の札幌延伸が予定される30年度末までの運用開始を目指す。
固定経路を回るのではなく、利用者の希望に応じAIで移動経路を決めるデマンド交通システムを想定。手稲区で実証中のデマンド交通と同様のシステムを検討する。
車両の大きさや種類は今後詰めるが、走行時にCOを出さない水素車両の実証導入も視野に入れる。環境性やバリアフリーなど、次世代型路面電車(LRT)の利点を生かした交通システムを構想する。
都心では、新幹線駅東改札口周辺で新たなにぎわいが予想される。市は改札口に隣接し、タクシーや一般車の乗降ができる約2000m²の交通広場を整備する計画だ。苗穂駅周辺でも再開発が進んでいることから、両エリア間で人の行き来を活発にする狙いがありそうだ。
市は22年9月、採算性などの理由で路面電車の延伸が極めて困難との検討結果を公表。軌道など固定設備を要しない新しい公共交通システムで、コストを抑えながら市民の交通需要に応える考えだ。
まちづくり政策局総合交通計画部は、23年度予算要求で検討業務やデマンドシステムの導入費用に5400万円を求めている。社会資本整備総合交付金を活用する意向。入札方式は未定で、早期の発注を目指す。