ダム再生で中流市街部の治水効果向上へ
北海道開発局は、十勝川水系河川整備計画の変更で、音更川流域にある糠平ダム、元小屋ダム、幌加ダムの再生事業を検討している。帯広市など中流市街部の治水効果を高めるため、十勝川流域委員会に提示した。各ダムの直下に新たな堤体を構築するかさ上げにより、豪雨や大雨時の洪水調節機能の増強や貯水容量拡大を見据え、施設管理者らと具体的な協議を進める方針だ。
昨年9月の会合では、治水安全度向上へ既存ダムの活用と河道掘削を進める方針を固めていた。河道掘削のみや遊水地の設置に比べ、早期の効果発現や環境への影響低減が期待される。
十勝川水系にあるダムの中から13のダムを再生候補に選出。具体的には音更川流域の糠平ダム、元小屋ダム、幌加ダムと、十勝川本川流域の十勝ダムなど4ダム、札内川流域の札内川ダム、中小河川地域の美生ダムが浮上。再生中の佐幌ダムと中流部への効果がない幕別ダムなど3ダムは除外した。
音更町の十勝川温泉街で流量を比較すると、音更川流域のダム再生は十勝川本川への合流量を他のダム再生より毎秒700m³削減できる。合流点は帯広市など市街地が集中する地域のため、河道掘削とダムのかさ上げで洪水時の流量を調節する考えだ。
電源開発(本社・東京)が所有する音更川流域の3ダムは、上流の幌加ダム(堤高32m、堤長135.5m)が1965年に完成のロックフィルダムで、有効貯水容量は23万9000m³。中流の糠平ダム(堤高76m、堤長293m)は56年完成の重力式コンクリートダムで、有効貯水容量は1億6050万m³。元小屋ダム(堤高32m、堤長86m)は60年完成の重力式コンクリートダムで、有効貯水容量は79万8000m³。
11日に十勝川流域委員会(委員長・泉典洋北大大学院工学研究院教授)の会合を帯広第2合同庁舎で開催。ウェブ形式で有識者の委員8人が出席し、検討過程や内容の説明に対して、それぞれの立場から意見を寄せた。
変更原案は今後、縦覧やパブリックコメントを経て成案化。治水対策事業は次回委員会で計画段階評価案をまとめ、新規事業採択時評価に向けて国土交通省に提出する。