地方の訪日客消費額伸ばせ
インバウンドに地方でいかに消費してもらうか―。21日に室蘭市内で開かれたインフラツーリズム魅力倍増プロジェクト・シンポジウムで、観光庁観光地域振興部の河南正幸観光地域振興課長が基調講演した。アフターコロナを見据え、消費額拡大、インバウンド回復、高付加価値で持続可能な観光地を目指すとし、滞在交流型の転換へマーケティングとマネジメントが重要になるとした。

河南正幸観光地域振興課長
河南課長は1991年に旧建設省に入省し、道路分野を中心にインフラ整備などに従事してきた。在トルコ日本国大使館勤務、静岡県沼津市副市長、国土交通省道路局ITS推進室長、中部地整道路部長、千葉県県土整備部長を経て2021年7月から現職。
人口減少が進む日本で「観光が成長戦略の柱であり、地域活性化の切り札となる」とし、定住人口が1人減ると、年間消費額130万円が失われるが「外国人旅行客8人を誘客すれば補うことができる」と述べた。
日本の強みは「観光振興に必要な気候、自然、食、文化の4要素が全て備わっている」こと。国際観光需要の取り込み、交流人口拡大、相互理解促進などに向けてビザの戦略的緩和や空港・港湾の機能強化、公的施設・インフラの公開などに取り組んでいると説明した。
コロナ禍以前の19年、国内旅行の消費額が目標値を達成した一方、外国人旅行客の消費額と地方の延べ宿泊者数が目標値の6割にとどまったことを挙げ、「インバウンドはまだまだ伸びる。地方でいかに消費してもらうかだ」と呼び掛けた。
今後の観光地づくりは「住む人が良いと感じることを理念に、滞在交流型への転換を目指すべきだ」と説き、地域づくりコンセプトの明確化(マーケティング)と、関係者を巻き込んだ合意形成(マネジメント)が重要になるとした。
単価が安い宿泊業の魅力向上やインバウンドのマナー違反など改善すべき課題も挙げた。(室蘭)