二本柳慶一建築研究所が協力
見応えのある西部地区に住んでみたくなった―。函館工高建築科3年が、二本柳慶一建築研究所(本社・函館)の協力を受けて取り組む函館市の街区模型製作が3年目を迎えた。今回は元町、大町など西部地区が対象。生徒は新たなまちの魅力に気付くとともに、より住みよい場所にするにはどうすべきかを考えるきっかけになったようだ。
課題研究授業の一環で、2020年度に始まった。函館の現状や建築と街の関わり、将来像について知ってもらうのが狙いだ。
縮尺600分の1の地図にスタイロフォームから切り出した建築模型を配置し、街並みを俯瞰(ふかん)して見られる。若松町、松風町などJR函館駅前エリアをスタートし、東雲町などを経て、今回は歴史的建造物が立ち並ぶ西部地区に着手した。
生徒8人のグループで22年4月から調査と製作に入り、このほど完成。20日に同社で発表会を開いた。
現地で建物を観察し、同社が保有する設計図を確認するなどして模型化したことを報告。切り妻造りやドーム型の屋根といった複雑な形状の建築物が多く、やすりなどを使い実物に近づけたという。
魅力的な建物が多い一方、空き地、空き家が目立つといった課題を指摘。「リノベーションして店舗数を増やしたり、キッチンカーなどを活用したりすればよい」と地域ににぎわいを呼び込む方策を提案した。
発表を聞いた二本柳慶一社長は「今ある建物を財産として利活用し、街を活性化するという考えを持っていると知り、心強く感じた」と話す。
その上で「進学や首都圏への就職など函館ですぐに建築の仕事に就く生徒は少ないと思う。今回の取り組みをきっかけに、いずれ函館に戻って建築家として育ってくれる子を増やしたい」と期待している。
模型は二本柳慶一建築研究所に展示している。見学希望の問い合わせは同社、電話0138(35)4420へ。