深掘り

 地域経済の成長には、新たな技術シーズを生み出すだけではなく、その技術を発展させたビジネスの創出が欠かせません。〝勝ち〟にこだわる経営者らの発想やアイデアを紹介します。

深掘り EO Hokkaido 西澤亮一会長

2023年01月26日 11時00分

西澤亮一会長

北海道の産業 世界一に

 世界規模の起業家ネットワーク、EO(アントレプレナーズ・オーガニゼーション)の北海道支部「EO Hokkaido」が昨夏発足して半年が過ぎた。第1期会長を務めるのは、中標津町出身で人材ビジネスのネオキャリア(本社・東京)社長を務める西澤亮一氏(44)だ。同氏は「起業家の力を結集し、北海道の産業と暮らしの質をグローバル・ナンバーワンにする」と目標を掲げる。

 -EOは歴史のある国際組織と聞く。

 海外の若手起業家たちが1987年に立ち上げた世界的ネットワークが始まりで、現在60カ国以上で1万6000人超が活動している。東京にアジア初の支部ができたのが95年。それ以降、大阪、名古屋といった地域別、企業規模などによる個別組織が日本国内に10以上でき、2022年7月に北海道支部を立ち上げた。

 入会には年商1億円以上の企業を経営していること、既存メンバー全員の承認を得ることが全EO共通の条件になる。北海道の場合は道内出身、または道内で事業をやっていることを要件に加えた半面、創業者以外でもOKとした。

 -経営者向けの定期会合や勉強会は道内にも数え切れないほどあるが。

 一番の特長は「フォーラム」と呼ぶ意見交換の場だ。月に1回、経営に関するテーマを対等な立場で話し合う。これとは別にセミナー形式の月例会もあり、ゲスト起業家に直接質問や相談をすることもできる。メンター制度も用意している。

 -道内有力企業の若手経営者といえば毎回似通った顔ぶれになる。すでに親交が深い面々で、従前通りの会話を続けることにならないか。

 そうならないのがEOの長所だ。フォーラムでは冒頭で全員が最近の話題を短く話す決まりになっていて、その中から議論のテーマを決めて深掘りする。アドバイスは上下関係につながるため禁止。全参加者に守秘義務を課し、普段話しにくいことも話せるようにしている。議論をまとめるまで4時間かけることもある。こうしたやり方から、日常的な親交では得られない知見が生まれる。

 月例会の質も高いと考えている。私が普段東京で仕事をしている分、道内では知り合えないような経営者をメンバーとつなぐことができる。

 -ご自身はEOにどう関わってきたか。

 新卒で投資会社に入った後ネオキャリアを設立して取締役になり、その2年後に社長になった。EOに入ったのは05年だ。当時は日本の会員数が100人ほどで20代は私ぐらい。ここで先輩経営者に大いに刺激を受けた。一時期は東京の会長職もやらせてもらった。

 -長く北海道の支部はなかったようだが。

 仙台で15年にできた支部が北日本全域をエリアとしていたが、道内を含めるのはやはり無理があり、北海道の経営者はいなかった。富山浩樹サツドラホールディングス社長など面識のあった同世代の経営者に声を掛けたところ、道内での発足に前向きな人が集まった。

 発足時が25人で、12月末で40人に増えた。25年までの100人達成を目指している。そこからは拡大せず、希望者には待ってもらって、欠員が出れば入会してもらうイメージだ。

 -「グローバル・ナンバーワン」を掲げる。

 道内、国内だけでなくグローバルな視点で見ても、北海道のポテンシャルは観光を筆頭にとても高い。世界の人々から行きたい、住みたいと思ってもらえる地域になれる。そのためにも若い起業家が育ち、力を合わせることが必要で、EOがその一助になると信じている。

 (聞き手・吉村慎司)

 西澤亮一(にしざわ・りょういち)1978年2月中標津町生まれ。2000年日大商学部卒、投資会社に入社。同年11月にネオキャリア設立。02年に代表取締役就任。

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