従業員の意欲や士気を左右
行政書士として独立する前は会社員でした。法務部門という専門性のある部署だったためか、社長直下の一人部署であり、管理されることもなく伸び伸びと業務を行っていました。
独立した当初は従業員を雇用することを考えておらず、自分のできる範囲で業務を行おうと思っておりました。
現在は、有り難いことに業務量が増え、2人のパートを雇用するに至っております。初めて部下ができました。気ままな自営業から抜け出し、従業員の雇用を守ることについて考える必要が生じました。それ以前の私が関連する範囲には一切なかった「経営」という観点で事業を捉える必要が生じました。戸惑いながらの日々が始まりました。
事業を運営するための業務を、実際に業務を行うプレイイング業務と、業務の管理を行うマネジメント業務の二つに分けるとします。日本型雇用の場合、働き始める頃はプレイイング業務を担当し、その功績が認められると出世し、管理職となり、マネジメント業務を行うようになることが多いと思います。私のように、独立することで突然マネジメント業務に取り組む必要があることもあります。
プレイイング業務については、その会社の文化も含めて自分のマネージャーから指導を受けます。一方、マネージャーの仕事は大企業ならまだしも、一般の中小企業では特別な訓練を積む機会は与えられません。マネージャー研修があれば受講し、あとは現場で見様見真似で行うのが一般的ではないでしょうか。自分の能力に物足りなさを感じた場合であっても、例えばドラッガーなどの書籍から学んだり、試行錯誤や他のマネージャーへの相談や対話に基づいて体系化するなど自己管理に任されていることが多いと思います。
マネジメント業務は、実際に経験してみると、見様見真似でこなす業務ではないことが分かりました。適切な目標を設定すること、全体の状況を把握して目標に向けた道筋をつけること、従業員に関するスケジュール管理からモチベーション管理、新規採用に関するタイミングの選択と合否の決定、その他の雑多な仕事の処理など、枚挙に暇はありません。
一方で、マネジメントの巧拙は従業員のモチベーションを左右し、顧客からの評価にも影響を与え、金銭面にも多大なる影響を与えます。
自分一人ではできない仕事について、持てる力と知識を使い、複数人で何かを成し遂げるリーダーシップをとることは、奥が深い業務ではありますが、仕事をすることでこそ味わえる達成感があると思います。
待っていても、それについて学ぶ機会は与えられそうにありません。今年は、書籍や先輩経営者との対話から、マネジメント論について研究しようと目標を立てています。