きれいな包装紙、すてきなイラスト、美しい写真など、人さまから見たら価値がないようなコレクションですが、子どものころの私には大切な宝物でした。必要な時にサッと取り出せるように分類し、タイトルをつけた袋に入れて、お気に入りの箱にしまっていました。でも、数が増えるにつれ分け方が難しくなり、分類の仕組みを知りたいと思うようになりました。
学生時代の私は図書館のヘビーユーザーで、図書館の蔵書のおかげで卒業できたと思うくらいです。図書館にはさまざまな本が何十万冊も整然と並んでいます。希望する本がさらりと出てくる仕組みにいつも感心していたのですが、長年疑問だった分類のヒントがここにありました。
図書館には、その館に合った分類方法がありますが、基本は同類集めです。似たもの同士をまとめておくと、それだけでスムーズに取り出せるようになります。探すエリアが絞られ、他の箇所を見る必要がないからです。
この分類の技は、商材の種類が多いインテリアの仕事でも役に立っています。例えば、カタログはメーカーを問わずカーテン、照明、壁紙、床材のように種類ごとに置きます。壁紙のA4サンプルはかなりの量を保管しているので、メーカーごとに引き出しに入れて品番順にそろえます。
品番順にそろえるのは少々手間ですが、仕事では品番で探すことが多いので、取り出しやすさを考えると、この手間は必須です。アルファベット順や数字順に並べる作業は、慣れないうちは苦戦するかもしれませんが、この機械的な整理の仕方は曖昧さがないので、誰が行っても同じ結果になります。
以前勤めていた会社で「品番順ではなく、色や柄で分けたい」とスタッフから希望がありました。しかし、色や柄の判断には個人差があるため、気持ちは分かるのですが却下しました。
分類は仕分けること、整理は所在地(住所)を決めること、整頓は正しい位置に置くことですが、仕分けと所在地を割り当てる分類整理は重要です。図書館の本はどれも所在地が決まっていますから、読んだ本はその所在地に確実に戻す、つまり整頓が比較的容易です。
でも、何十万冊もある本の中の一冊が、とんでもないところに紛れ込み、探し出すのにとても時間がかかったことがありました。壁紙のサンプルが引き出しに見つからず、見本帳の小さなサンプルを丁寧にはがし、提案ボードに貼って、プレゼンを乗り切ったこともありました。整頓は人の行動なので、入れ間違いはありうることですが、できれば最小にとどめたいところです。
分類・整理・整頓は一続きの仕組みで、作業効率や暮らしやすさに繋がります。住まいの収納はきれいにきちんと収める整頓に注意がいきがちですが、どこに置くと取り出しやすいか、つまり所在地の決め方にポイントがあります。住所不定にしないこと、戻しやすいことが整頓のこつのようです。