水平方向へ殻を割るのが特長 人手不足解消に期待
誰でも簡単にウニの身を取り外せます―。篠田興業(本社・標津)は、素早くウニの殻を割って処理しやすい状態にする機械「うに割革命」を開発した。部材の補強など最終調整中で、近く販売を始める。
割る速度は1分間に40個と従来機よりやや遅いが、垂直方向ではなく水平方向に割ることが大きな特長。未経験者でも容易に殻から傷つけずに身を取り出すことができ、トータルの作業時間短縮や人手不足解消につながると期待される。
網状の受け皿の上に殻付きウニを裏返しに置くと、先端に刃が付いた12本の金属製アームが下りてきて、絞るように周囲に切り込みを入れる。ウニは殻ごと塩水の水槽に落ち、口側の殻を外せば残り半分に身がそっくり残る。あとは内臓を取り除き、身を外すだけ。
ウニは底部に口、上面に肛門があるため、ここに刃を入れて垂直方向に割る機械が主流。篠田静男社長は「水平方向に割るのはこれが初めてではないか」と話す。
篠田社長は殻付きウニを食べる際、包丁の角で水平方向に切り込みをいれていた。身を外しやすいと知っていたからだが、一つ一つ作業をするのは面倒と考え、5年ほど前に「うに割革命」の原型となる機械を試作した。
それを伝え聞いたある水産加工業者から「人手不足の解消につながるなら導入したい」と言われ、昨年6月に改良を本格化させた。
アームにセンサーを取り付け、刃が殻の表面から一定以上刺さらないようにしたことが最大のポイント。これにより歩留まりの向上を図った。
併せて掃除機の先端に付けて使う専用ノズルも開発。細いノズルの先端と中間に穴があり、中間の穴を指先でふさぐことで吸引力に強弱が付けられ、ウニの身を残して内蔵だけを素早く吸い取ることができる。
機械は幅、奥行き、高さが約90cmで、重さは100㌔ほど。水産加工場など大量に処理する事業所をターゲットに見据え、販売価格は120万円程度と想定している。
うわさを聞きつけた水産関係者からは問い合わせが相次いでいる。その中には大手回転ずしチェーン店の本社も含まれているという。
手動で水平方向に殻を割る器具も開発。仕組みはほぼ同じだがセンサーは付けず、半分の6本に減らしたアームをハンドルで締め付けて刃を食い込ませる。こちらはレストランや、すし店などへ5万円程度で販売する方針だ。
いずれも篠田社長のアイデアを踏まえ、坂脇機械店(本社・中標津、坂脇孝一郎社長)が製作を担った。特許出願中。