半導体新会社のRapidus(本社・東京、ラピダス)は、新工場の建設地として千歳市内にある工業団地「千歳美々ワールド」を候補の一つに挙げていることが分かった。複数の関係者によると、セイコーエプソン千歳事業所の付近で考えている。2月末にも候補地が決まる見通しだ。

半導体新会社のラピダスを訪問し、小池社長(右)に工場誘致の要望を行った鈴木知事
同社は国内で次世代半導体を量産するための拠点の選定を進めている。16日には鈴木直道知事がラピダスの本社を訪問し、小池淳義社長に要望書を提出。過去最大の投資案件として道内に呼び込みたい考えを伝えた。小池社長は「日本でふさわしい、一番良い場所に工場や関係施設、研究所を造りたい」と述べ、本道を候補地として検討する考えを示した。
関係者によると、既に建設費の見積もりや作業員の確保など、工事に向けた動きが建設業者の間で出ている。千歳美々ワールド内にある候補地はインフラ整備がされていないため、都市ガス整備などの検討が進んでいるもようだ。
新工場の事業費については、国の助成金などを活用する見込み。2022年11月には官民連携で次世代半導体の量産化を目指すため経済産業省から700億円の支給が決まっている。
世界で次世代半導体の研究開発競争が激しさを増す中、国内では半導体工場の設備投資が出ている。台湾積体電路製造(TSMC)は約1兆円を投じて熊本県菊陽町に工場を新築。24年12月の稼働開始を予定していて、関連産業を中心とした企業進出の動きもある。
同町の担当者は「近隣自治体にも関連産業の施設新築計画が立ち上がっている」とし、「町として工業団地拡張などの検討を始めている」と話す。また、町内の既存企業が設備を拡張する動きも強まっている。
千歳市にラピダスが工場を新築すれば、巨大製造拠点と、それを支える素材集積、ライン修理、維持管理などの関連企業群、大量雇用の波及効果が期待できる。