札幌市デジタル戦略推進局は2023年度、厚別区のもみじ台や新さっぽろで「共創型スマートシティ 新・さっぽろモデル」事業を計画している。デジタルサービスを活用してコミュニティー活性化や健康増進を促す狙いだ。10日付で国のデジタル田園都市国家構想交付金に採択された。
健康増進や生活支援などのサービスを開発し、住民がタブレット端末で使えるようにする。22年12月に開設したデータ取引市場を用い、市や企業のデータをサービス開発や改善に生かす。
内容はオンラインでの健康チェックやバイタル測定管理などを想定。個々人のデータに応じてAIがフレイル(心身の虚弱)対策や外出などを利用者に勧める。
自宅周辺で利用できる移動販売バスや周遊クーポン、民間サービスなどの情報提供も計画。既存の市有・民間施設に交流拠点を置き、生活密着サービスの提供を構想する。
高齢化や人口減が進むもみじ台・青葉と、再開発が進む新さっぽろとの関係を強めて相互発展させる狙いがある。事業実施地域の人口は3万7405人。新さっぽろの再開発事業者との将来的な連携も視野に入れる。
23年度にサービスを運用開始し、25年度までの3カ年で「新・さっぽろモデル」を創出。その後は市内全域への展開を目指す。サービスの有償・無償は検討中だ。
23年度の予算は4億円を見込み、2分の1で国の補助を受けてサービス開発や協議会立ち上げを進める。市長選後の第2回定例市議会で補正措置する考えだ。
2月末までデータ取引市場を活用した課題解決を調査し、コミュニティー不足や移動困難などの課題ヒアリングを踏まえて立案した。
デジタル活用のまちづくりは、道内では更別村のスーパービレッジ構想や江別市の生涯健康プラットフォーム推進などが進む。道外では福島県会津若松市のスマートシティ事業が代表的で、食・農分野の需給マッチングやデジタル地域通貨など多岐にわたり取り組んでいる。