各地で転・墜落相次ぐ
道東3労基署管内の2022年建設業労災発生状況(速報値)がまとまった。被災者は3管内で164人に上り、前年速報値に比べ15人減った。死亡災は各地域1件発生。被災者数は帯広と北見で減ったものの、釧路では21人増加した。いずれも転落・墜落災害が多かった。各労基署は作業手順を守るなど、さらなる労災防止を呼び掛けている。
■帯広
帯広労基署管内は28人減の50人が被災。過去20年間で14年の49件に次ぐ2番目の少なさとなった。一方、土木工事では1人が亡くなり、建設業での3年4カ月連続死亡災ゼロの記録が途切れた。
4日以上の休業は建設業の全業種で減少した。内訳は、土木が死亡1人を含む14人、建築17人、木造建築12人、その他7人だった。死亡災は、被災者が移動式クレーンの車体の下で回転するPTOドライブシャフトに上着が巻き込まれた。
同署の担当者は22年の傾向について「屋根や足場からの墜落・転落が多かった」と考察。「現場作業だけでなく、土場作業を含めた安全対策を強化して」と訴える。
■北見
北見労基署管内の被災者数は8人減の42人。前年に3人だった死亡災は2人減少したものの、設備で1人発生した。
業種別の内訳は土木が24人、建築、木造建築が各8人、設備が死亡1人を含む2人となり、いずれも前年を下回った。依然として墜落・転落災害が高い割合を占めるが、1割以上減少している。
同署の担当者は22年の管内建設業労災について、「作業の危険性を具体的に予知し、安全対策を講じる現場が増えたことが減少に転じた要因」と振り返る。「これからも現場の安全管理水準を高めることが重要」と指摘し、「建設機械や荷台からの墜落、転倒など、労働者の作業行動に起因する労災防止にも努めて」と呼び掛けている。
■釧路
釧路労基署管内は休業災が20人増の71人で、死亡災は建築で1人発生した。21年に統計開始以来初の2年連続の死亡災ゼロを達成したが、記録更新とならなかった。
業種別の内訳は土木25人、建築が死亡1人を含む34人、木造建築9人、設備4人だった。
脚立やはしごを不適切な場所や方法で使用したため転落・墜落災害が発生。油断して屋根から飛び降りて被災する事例もあった。
同署の担当者は「脚立やはしごは簡単に使えるからこそ、基本的な設置・使用方法を守ってほしい」と話し、「作業手順を守れば起こらない事故を防ぐため、災害要因の排除を」と注意喚起した。