スポーツ軸に地域創生 サフィルヴァの三木智弘社長に聞く

2023年03月19日 08時00分

内外の人流で循環型社会を

 札幌に拠点を置くプロバレーボールV2リーグのサフィルヴァ北海道は、2月末の臨時株主総会で新たな取締役に三五工務店(本社・札幌)の田中裕基社長と創伸建設(同)の岡田吉伸社長ら道内企業の経営者7人を選出した。来シーズンに優勝を目指す一方、スポーツを軸とした地域創生に力を注ぐ。チームを運営するサフィルヴァ(同)の三木智弘社長(26)に狙いや今後の展開を聞いた。

三木智弘社長

 ―新たな取締役について。

 10年後、道内の各産業のトップランナーになるであろう30―40代の若手で地域貢献意識の高い経営者に参画してもらった。建設業のほか食や農業、美容、ITなど多業種にわたる。

 ―外部の経営者を迎えた理由は。

 従来の商業的価値観ではなく共に成長し合える関係性を保つことが目的。スポンサー企業ではなく、当事者意識を持ってクラブ経営に参加してもらおうと考えている。彼らの力を総動員すれば今の何倍ものパワーが生まれる。成長意欲を高め合っていければ、クラブハウス建設といった周辺需要も自然に増すだろう。

 ―デジタルオーナー権の販売も話題になった。

 昨年8月からアプリ「スポつく」の提供を始めた。月々会費を支払うと、アンケートやコメント投稿を通じてファンもチーム経営に関わることができる。関わる人全員を巻き込むことで選手のモチベーションが上がり、経営陣もエネルギーをもらえる。

 ―地域密着型の経営にこだわっているが。
 スポーツをひとつのコンテンツとして、北海道全体を巻き込んだ経済の活性化を目指す。札幌市とは連携協定を結んでいるが、今後は道内全域の自治体へ協力を呼び掛ける。

 ―具体的には。

 各地域の経済界を巻き込み、関係人口を増やしたい。このためには人材をシェアするという発想が欠かせない。人口減少社会が進む中で、ひとつの拠点への移住や囲い込みを促そうとすると、優秀な人材が集まりにくい。例えばキャンプやシーズン中はチームの側で働き、オフシーズンは地元に戻るなど、人を循環させる仕組みをつくる予定だ。ヒト・モノ・情報・カネが集まる中心に、われわれのチームがあるのがベスト。流動的に人が行き来すれば経済も回る。

 ―今後の展開は。

 借金5000万円のスタートから4年がたち、今期は黒字化を達成して1億円企業に成長した。来シーズンはV1昇格、25年には売り上げ5億円を目指す。道内だけでなく海外からの人流も視野に入れた循環型社会をつくるのが目標だ。まずは地元をよく知る仲間と足場を固め、スポーツチームを通じた地域マーケティングとコミュニティーづくりを継続したい。

(聞き手・及川由華)

 三木智弘(みき・ともひろ)1996年生まれ、三重県出身。東大経済学部4年生(休学中)。2019年にミキスポーツ(本社・東京)とスポーツネイション(同・札幌)を創業。同年、サフィルヴァの代表取締役に就任した。アスリートを支援するニューネックス(同・東京)の取締役も務める。

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