東京航空局が配置計画案を作成 概算事業費の算定も
国土交通省東京航空局は2023年度、立体化を視野に札幌丘珠空港駐車場の整備検討に着手する。空港内の道路とともに配置計画案を作成し、整備スケジュールや概算事業費を算定。新規路線就航や増便を踏まえ、予想される利用者増加に対応するのが狙いだ。
現地調査や関係者ヒアリングで利用実態を把握して施設の課題を整理。青空駐車場の立体化や道路拡張について整備の要否を検討する。ターミナルビルの増改築は対象に含めない。
背景には、駐車台数の確保が差し迫っている状況がある。東京航空局丘珠空港事務所によると22年6月から月に数回、満車の時間帯が発生。ビジネス客が多いため特に火―木曜の日中に混み合い、便数が減る冬季でも満車になる日があったという。収容台数は367台で、冬季は積雪量に応じて20台ほど減る。
丘珠空港の利用者は今後も増加する見込みだ。17日、22年度の旅客数が13年ぶりに30万人を超える見通しだと札幌市が発表。26日にフジドリームエアラインズが県営名古屋空港(小牧空港)路線を就航し、10月には北海道エアシステムが4機目の運航を計画する。新型コロナウイルス感染症の5類移行も控え、駐車場需要の増大は確実だ。
札幌市などが国に要望している将来像は、今回の検討の前提とはしない。滑走路延伸などは事業化決定前で、期間も10年以上が見込まれる一方、駐車場の確保はより短期的な課題だからだという。
駐車場以外でもキャパシティー強化の動きが進む。ターミナルビルを管理する札幌丘珠空港ビルは6月、保安検査場通過後の乗客待合室で席数を130から190程度に増やす。複数の出発便が重なって混む時間帯もあって対応を決めた。
丘珠空港を巡っては札幌市が22年11月、1800mへの滑走路延伸やターミナルビル拡張、駐車場増設、運用時間拡大などを求める将来像を策定。空港を所管する国交省と防衛省に市や道、経済界などが共同で事業化を要望した。
空港関係者らは整備検討を「大変ありがたい話だ」と歓迎する。ビジネスや医療、観光を支える広域交通拠点に向けた第一歩となるか、期待が集まっている。