檜山振興局は、公用車として電気自動車(EV)を導入し、充電のための太陽光発電システムを庁舎敷地内に設置した。脱炭素化を目的とした道内初の取り組み。閉庁日にはEVをカーシェアリング用に提供し、道有資産の有効活用や脱炭素社会への関心喚起も図る。他自治体や地元の企業などにも同様の取り組みが波及することを期待している。

EVからのスマートフォンの充電をデモンストレーションする担当者
25日からのカーシェアサービス開始を前に22日、報道機関にシステムを公開した。
道は2030年度までに事務や事業活動に伴うCO₂排出量を13年度比で50%削減する計画を掲げている。
その一環で22年度、檜山振興局と渡島総合局に太陽光パネルを備えたカーポート(ソーラーカーポート)とEVを導入。檜山はカーシェアリング事業、渡島では災害時を見据えた庁舎への電力供給を可能にするV2Bシステムの構築と実証にそれぞれ取り組む。
檜山振興局のシステムは、日産自動車とリース契約しているEV「リーフ」2台と50m²のソーラーカーポート、パワーコンディショナー、蓄電池、充放電機器などで構成する。設備の設計は中山設計事務所が担当。ナラサキ産業が22年12月―23年2月で施工した。
土日祝日に住民や旅行者がEVを利用できるのが大きな特長。「気軽に利用して脱炭素社会を身近に感じてもらいたい」と今聡人環境生活課長は話す。
カーシェア事業を運営するのは、日産を代表者とするコンソーシアムで、総合評価方式の一般競争入札で決めた。
日産のカーシェアサービス「NISSAN e―シェアモビ」を活用する。利用登録と予約をした上で、免許証を車両にかざして解錠。車内のキーで始動する。満充電で400kmほど走行できるという。
1台当たり年に3万km走行すると想定し、年間消費電力は2台合わせて8000kWを見込む。太陽光パネルの発電電力は年間1万1788kWで、余剰電力となる3000kW程度を庁舎で利用するなどゼロエネルギー化に近づける。災害時には避難所へのEVからの電力供給にも対応する。
今課長は「カーシェアを含む同様の取り組みが地域の企業などを中心に広がれば」と期待。先行事例として、カーシェアの利用状況など個人情報以外のデータを蓄積する考えだ。