建設廃棄物を少しでも素材に 全道一円網羅する体制築く
解体工事を営む木村工務店(本社・釧路市)とホリイ(同・札幌)の統合会社「MEGURU(めぐる)株式会社」が3月1日に事業を開始した。鈴木商会100%子会社として解体から資源回収・産業廃棄物処理に至るまでの一気通貫したグループ体制を構築する。業界は、中心市街地の再開発などで活況の札幌と老朽化した建物が手付かずにある地方で2極化にある。小川雅裕社長に新会社の抱負や市場感を聞いた。
―社長としての意気込みを。
鈴木商会にとって鉄スクラップ仕入れ先だった旧ホリイを吸収し、かつ社名を変え、常務の私が兼務して社長を務めることになったのは、まさに青天のへきれき。鉄スクラップの流通は26年の経験があるが、建物を壊す仕事は初めてで解体業を一から学び直したいと思う。
統合2社による社員数は80人を超えるため、融和を図りながら鈴木商会が目指す資源循環型製造業を下支えする〝総合解体循環企業〟を目標にしたい。
MEGURUの社名には「社員の輪」と「資源を巡らせる」の2つの意味が込められている。社名に恥じない会社となるよう、社会に貢献したい。当然ながら安全な工事が大前提で、研修や教育の機会などグループで担保しながら信用を勝ち得たい。
―現状の道内での解体市場をどう捉えるか。
北海道新幹線の延伸や再開発ラッシュで、札幌圏は2030年前後まで壊して建てる工事が多いとみている。MEGURUとしても社会貢献できるような仕事の取り方をしたい。地方は壊す予定の建物が潜在的にあるが、新たな建て替え計画などが出ないと動きが取れなく、受け身の状況が続きそうだ。
―MEGURUの強みは。
平均年齢は45歳。社員は温かみというか協調性があるため一致団結してやっていけると思う。価格だけでなく、グループの提案力で選ばれる企業になりたい。
鈴木商会は、オフィスや店舗向けに不要品の撤去から廃棄物の処分までワンストップで対応する〝かたづけおせっかい〟というサービスを展開する。これにMEGURUを合わせると、残置物の撤去や躯体の解体まで対応力を伸ばすことができる。
さらに、電炉メーカーとの連携など課題はあるが、壊した建物から出る鉄スクラップをトレーサビリティーのように厳格にひも付けして地産地消色の強い鉄筋などを企画したい。さまざまな可能性があると考えている。
―旧木村工務店と旧ホリイの統合によるスケールメリットを。
直接的にはホリイが拠点とする道央と木村工務店が拠点とする道東をカバーする形だが、全道一円を網羅できると考える。解体現場から出る鉄スクラップは、地域内で処理した方が輸送にかかるCO排出量が少なく効率が良い。スクラップ受け入れ先の鈴木商会は全道を網羅しているため、発生元となるMEGURUも全道をカバーすることで、より地球に優しい資源循環体制を築くことができる。
―重機などの設備投資の予定は。
2社を合わせた保有台数は34台。旧木村工務店は2月末に30㌧級の解体専用機を1台導入していて、新会社は5月に50㌧級2台を納入予定だ。後は仕事を取ったり、未来を追いかけたりしながら設備投資をしたいと考える。
―施主や元請けに向けた抱負を。
「鈴木商会グループに出せば建設廃棄物のリサイクルが高められる」というイメージを定着させたい。金属リサイクルだけでなく、建設廃棄物として出る物を少しでも素材に戻すよう近づけることも使命だ。