
高山寿彦社長
販売価格抑え成長路線へ
土地や建築費の高騰で道内の住宅価格は右肩上がりを続ける。住宅ローン金利が上昇し始める中、コスモ建設(本社・札幌)は若い層にも幅広く戸建て購入を促すため、ことしから32坪(105m²)前後のローコスト住宅「LCシリーズ」の提供を始めた。注文住宅に加え、企画住宅の品ぞろえを強化し、売り上げ増につなげる。短期計画として200戸を目指す高山寿彦社長(46)に、どのような経営を進めるのか聞いた。
―住宅の販売状況はどうか。
ことしに入ってから売れ筋が良く、昨年に比べて多い月だと10棟超えのペースで進んでいる。特に建売が好調だ。住宅価格は上がっているが、予算の範囲内で土地代金を下げたり、建物を狭くするなどで条件をクリアし、購入している動きがある。
本社を豊平区月寒から清田区清田に移し、地域密着で経営を進めている。区内にはハウスメーカーが少ないことが強みで、建売では弊社が最も供給している。北広島市内の住宅価格が高騰していることもあり、近くの清田区にも需要が増してきた。今後、人口は増加する要素があると見ている。
―新ブランドの「LCシリーズ」を導入したが反響は。
建築費が上がったことで、若い方など多くの人に紹介できる商品を出していこうと、ことしから販売した。札幌で成約が多い32坪前後の延べ床面積で、4・5畳の洋室を1階に設けた4LDKを基本に、シューズクロークとトリプルサッシを完備している。弊社が提供する従来のローコストシリーズとは違い、仕様や設備もワンランクアップした。価格帯は1600万―1700万円台に設定した。販売価格を抑えたことで好調な滑り出しとなっている。
―どのように価格を抑えたのか。
自社でパネル工場を持っていることから、できるだけ外注しないことや、大工を抱えているのが大きい。企業努力で値段を抑えている。
木材価格に関して言えば、メーカーによっては少しずつ下がっている状況にある。6月以降は少し落ち着くと予想している。その場合、住宅価格を見直すことも必要になるだろう。ただ、木材以外の資材は上がったままのため、状況を注視したい。
―千歳市内でラピダスが半導体工場を計画するが、ビジネスチャンスと捉えるか。
投資額は最大級だと聞いている。相当数の人が出入りすることになるだろう。弊社は千歳市内で賃貸住宅もやっているため、将来的に供給するという考えもあるが、ここは戸建てでやっていけないかと思っている。道外から独身者や既婚者がたくさん来ることが予想され、マイホームを持つというタイミングがあってもおかしくない。永住を考える人がいれば、受け皿になりたい。
―今後の展開を。
住宅ローン金利が上昇傾向にあるなど厳しい環境にあるが、成長路線に持っていくのが大事だ。これからの顧客、そして弊社に入社を考える学生に対して魅力がないといけない。短期計画として200戸を目指したいと考えている。こういう市況環境だからこそ、確かな品質と信頼で消費者に応えたい。
(聞き手・武山勝宣)