札幌市財政局は30日、2022年度の建設業元請け・下請け関係実態調査結果を公表した。有給休暇の年5日取得について、元請けが97.3%、下請けが82.9%で「取得させている」とし、無回答を除くと同項目を追加した19年度以降最も高い割合だった。加えて「取得させる必要があることを知らなかった」は元請け・下請けともに0%で、下請けでは初めて0%となった。
21年11月1日から22年10月31日に完成した土木、建築、下水道工事のうち、低価格調査アンケートや大型工事などから抽出。23年1月13日から2月10日にかけて元請け50社、1次下請け250社、2次以下250社を対象に調査した。元請け47社、下請け355社が回答し、回答率は元請けが94%、下請けが72%だった。
主な設問を見ると、年次有給休暇を10労働日以上付与している労働者に、年5日の休暇を取得させているかは、元請けで「取得させている」が97.3%、「無回答」が2.7%だった。
下請けは「取得させている」が82.9%、「取得させていない」が5.3%、「無回答」が11.8%で、無回答を除くと「取得させている」が94%、「取得させていない」が6%となった。
下請け代金の支払い・受領比率は「現金のみ」が下請けで73.5%、「手形のみ」が0.3%、「現金+手形」が22.8%。過去5年間を見ると、年を追うごとに「現金のみ」の割合が増え、「手形のみ」と「現金+手形」の割合が減少している。
今回新設した手形の割引料などコスト負担の協議に関する設問では、「協議した」が元請けで25%、下請けで15.9%、「協議していない」が元請けで66.7%、下請けで84.1%。元請け・下請けともに「協議していない」との回答割合が高い。
下請け契約では、書面による契約が元請けで100%、下請けで97.5%を占めた。下請け代金決定方法は「元請けと下請けの協議」が元請けで76.6%、下請けが65.6%、「下請けからの見積もり」が元請けで23.4%、下請けが29%。おおむね下請け企業の意向を反映している結果となっている。
下請けのみが質問対象の技能労働者の基本給設定(複数回答)は時間給が9.6%、日給が41.4%、定額月給制が71.3%、無回答が0.3%。定額月給制を採用する企業が最も多い。
技能労働者の賃金引き上げでは「該当する労働者がいない」「無回答」を母数から除いた場合、「引き上げた」「引き上げていないが今後引き上げる予定」と回答した元請けは97.2%、下請けは89.8%だった。