道建設部が22年度に実施 労働条件向上は7割
道建設部が2022年度に実施した道内建設産業の経営に関するアンケートによると、現在の経営状況は「前年並み」が57.4%で最も多く、今後の見通しについても「変わらない」が57%と最も高い割合になっている。前回調査(21年度)との比較で、今後の見通しは「好転する」が0.6ポイント上昇し、「悪化する」が1.1ポイント低下したが、現状維持との見方が強い。課題である担い手の確保・育成に向けては、就業環境の改善に取り組む企業が多く、賃金アップなど労働条件の向上は前年度を2.2ポイント上回る67.2%が「既に取り組んでいる」と回答した。
22年度に道内の建設業許可業者を対象に調査。依頼した4027社のうち1383社が答え、回答率は34.3%だった。
現在の経営状況は、「好転した」が16%で0.4ポイント下がり、「前年並み」が57.4%で0.7ポイント低下。「悪化した」は26.6%で1.1ポイント上昇した。今後の見通しは「好転する」が0.6ポイント増の9%、「変わらない」が0.4ポイント増の57%となり、「悪化する」も33.9%で1.1ポイント下回るなど、回復、現状維持を見込む回答が若干増えている。
最も重視している経営戦略は、本業重視の傾向が継続。「建設業本体での体質強化」が2.5ポイント上昇の56.2%で最も多く、合併等企業連携、新分野・多角化、異業種転換などの割合は大きく変わっていない。
経営戦略の取り組み状況(複数回答)は、最多が「社員の資格取得促進」で45.7%。「経費の削減」が44%、「得意分野への専門化」が30%、「民間需要の開拓」が24.9%で続く。全体的な傾向は前年度と同じだが、前回に比べ「社員の経営能力向上」「高度な人材の採用」「情報システムの強化」「新技術等の開発・導入」などの割合が1―2ポイント増えている。
担い手確保・育成の取り組みを見ると、就業環境の向上(労働条件の改善、作業環境の改善、安全衛生活動の推進)は半数以上の業者が「既に取り組んでいる」と回答し、「具体的に検討」も含めると8割を超えた。
このうち労働条件の向上(賃金・賞与アップ、労働時間短縮など)と答えた割合は67.2%で、前回調査よりも2.2ポイント増加。資本金の多い業者、元請け工事割合の高い業者、公共工事割合の高い業者ほど「既に取り組んでいる」との回答が多い傾向にある。また、長時間労働の抑制や休日・休暇への配慮といった安全衛生活動の推進も「既に取り組んでいる」の割合が72.7%と高く、賃金や休暇など待遇面の改善が進んでいる現状がうかがえた。
生産性向上の取り組みでは、UAV活用、ICT建機導入、CIM導入は7割以上の業者が「取り組む予定はない」または「取り組みたいがすぐに取り組む予定はない」と回答。一方、社内における改善活動(品質改善、原価低減など)の実施、労働者の技能向上、付加価値が高い業務へのシフトは60%以上が「既に取り組んでいる」「取り組みを具体的に検討している」と答えた。
従業員の過不足感は、「適正」が3ポイント減の38.1%、「過剰」が1ポイント減の0.5%、「不足」が4.1ポイント増の61.4%で、不足感が強まった。「不足」と答えた業者の割合を資本金別で見ると、5000万円以上1億円未満が69.4%で最も高く、1億円以上、1000万円以上5000万円未満も60%以上となった。
21年7月―22年6月の正社員採用状況は「予定通り採用した」が35.7%、「採用したが予定を下回った」が15.9%、「必要だったが採用できなかった」が25.2%、「必要なかったので採用しなかった」が23.2%。「予定通り採用した」が1.8ポイント上回った半面、「採用したが予定を下回った」「必要だったが採用できなかった」という予定通り採用できなかった業者の割合も増えている。