ベアや初任給引き上げ 物価高対策で一時金支給
道内主要ゼネコンが社員給与の賃上げなど待遇改善を進めている。新卒確保に向けた大卒初任給引き上げをはじめ、ベースアップ(ベア)や物価高騰対策の一時金支給などで若手社員の定着化を図っている。丸彦渡辺建設(本社・札幌)は賃金制度を見直し、大卒初任給を3万5000円引き上げた。現場を動かす人材の確保が急務となっている中、各社が知恵を絞っている。
4月に賃金を改定した丸彦渡辺建設は、昨年からの人事評価制度見直しの一環で2023年度から賃金制度を改定し、大卒初任給を3万5000円引き上げ22万5900円とした。賃上げ率はベアと定期昇給(定昇)を合わせ平均5.5%。同社人事部では「実力に見合った賃金制度とし、住宅手当を廃止するなど各種手当を見直して基本給を上げた」と説明する。
5月に改定する中山組(本社・札幌)は23年度から大卒初任給を5050円引き上げ、22万8700円とする(4月分は差額を支給)。ベアと定昇を合わせ平均5%の賃上げで、同社総務部では「新卒の人材を確保するため決めた」と話す。4月には奨学金返済支援制度も創設した。
6月に改定する伊藤組土建(本社・札幌)は来春、大卒初任給を5000円引き上げ、22万5000円とする方針だ。ベアと定昇で平均4%の賃上げとなる。同月に予定する岩倉建設(同)も賃上げを検討中。両社とも物価高騰や若手社員の定着化を理由に挙げる。
7月の改定を予定する岩田地崎建設(本社・札幌)はベアと定昇による賃上げを検討。同社人事部では「物価上昇もあり、各社が初任給を上げる中、人材を確保するため上げざるを得ない」と明かす。4月から奨学金返済支援制度を創設した。
4月の改定で大卒初任給を22万円に据え置いた勇建設(本社・札幌)は物価高騰が続く中、「社員の生活を支援するため、直近で物価高騰対策の一時金を支給する」考えだ。
同じく4月に改定した新太平洋建設(本社・札幌)は定昇のみで約3%強を賃上げした。大卒初任給は21万5000円で据え置いたが「来年は人材確保のためベースアップを含め、手当をアップしたい」と話す。
地方では、宮坂建設工業(本社・帯広)が4月に改定。同社総務部では「前年度に5年ぶりのベアで基本給が6%上げた。ことしは定昇のみ。賃上げ率は約2%ほど。あとは積極的に昇格人事を発令しているので、結果的に給与が上がる人が多い」と話している。