壁画でリノベビジネス JAPAN AX PROJECT 山田真史代表に聞く

2023年05月20日 08時00分

廃線の駅舎に「ミューラルアート」 現場囲いや住宅でも

 JR北海道が公募した「廃線跡地活用イノベーションプログラム」に、札幌市のスタートアップ企業「JAPAN AX PROJECT」の事業計画が採択された。一部廃止になった日高線や留萌線の駅舎などに〝壁画アート〟を施し、地域に再びにぎわいを創出するという。ミューラルアートと呼ばれる「壁画」を住宅の外壁や室内などに施工するビジネスを昨年9月に札幌市内で始めた山田真史代表(39)に、展望やビジネスの可能性などを聞いた。(聞き手・織本真)

制作中のミューラルアート

 ―聞き慣れない言葉だが、ミューラルアートとは。

 「壁画」はバンクシーに代表されるように無許可で描くイメージが強いが、ミューラルアートは壁主に許可を得た上で施工する。欧米などでは古くなった建物のリノベーションや街の景観づくりなどで注目されている。

 ―ビジネスモデルは。

 「JAPAN AX PROJECT」では、全国各地で活躍する約70人の壁画アーティストとパイプがあり、顧客のさまざまなニーズに応えられる態勢が整っている。まずは顧客と相談を重ね、意向に十分沿った形で絵柄や施工場所などを決める。料金はデザイン費なども含めて平均的な大きさの4m²で約50万円。規模にもよるが、おおむね数日から1週間程度で完成する。制作に顧客自身や家族、子どもなどが参加することもでき、唯一無二の記念になる。

道内で裾野を広げたいと話す山田代表

 ―開業から半年余りたつが、これまでの手応えを。

 4月に採択された廃線跡地の活用プログラムでは、地域に溶け込む形でミューラルアートを施し、新名所やにぎわいを創出しようと鋭意準備を進めている。また、JR札幌駅周辺で進む再開発事業の関係先から工事現場の仮囲いに施工できないかという相談も来ている。無機質になりがちな工事中の風景に彩りを添え、ワクワクする空間にリノベーションしたいと計画している。

 一般住宅への施工例は数件しかないが、こうした取り組みでミューラルアートの知名度向上やイメージアップを図り、道内で裾野を広げたいと考えている。

 ―欧米などで盛んな「壁画」は、日本ではまだ「落書き」と混同されることが多い。ミューラルアートの魅力は。

 機能性や利便性を追求した「デジタル」なものだけでなく、アートのように人の感性を揺さぶる「アナログ」なものも人を豊かにすると信じている。

 また、再建築不可物件やいわゆる事故物件など「負動産」といわれる住宅にミューラルアートを施し、新たな価値を加えることで再び市場に流通させる動きも首都圏などでは始まっている。

 ―今後の展開を。

 アート市場は、家時間が増えたコロナ禍以降、世界的に活況を呈し、オフィスや公共施設などへの施工が中心だったミューラルアートの施工も、個人宅へと市場が広がりつつある。これを好機と捉え、道内のリノベーション業者などと密に連携して潜在的なニーズを掘り起こしたい。

 山田真史(やまだ・まさふみ)1983年、札幌市出身。東京の大手出版社や住宅リフォームサイトの運営会社などを経て2022年9月から現職。

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