年内にも北電ネットへ接続検討申し込み
浜中町は、基幹産業の酪農で発生する家畜ふん尿を活用し、産業創出と再生可能エネルギーの地産地消を目指す。町内2カ所へのバイオガス発電プラント新設に向けて6月に先進地を視察し、7月にもバイオマス推進協議会を設立する予定。並行して進める酪農家などへの意向調査結果を踏まえ、施設規模、収支計画、事業実施体制、設置場所などを議論する。早ければ年内に概要を固め、北海道電力ネットワークへの接続検討申し込みを済ませる意向だ。
浜中町は昨年3月にゼロカーボンシティを宣言した。9月には第三地区(旧茶内第三小=茶内西13線85)と姉別地区(旧姉別小=姉別南1線172)に集中型バイオガスプラントを設けることを前提とした、バイオマス産業都市構想を策定。ことし1月には農林水産省からバイオマス産業都市として選定された。
構想によると第三地区は33戸の酪農家から発生するふん尿年間9万1373㌧を原料とし、年間発電可能量を1096万501㌔㍗時、年間売電収入を2億3180万9000円と見込む。
姉別地区は17戸の酪農家から年間4万2938tのふん尿を受け入れ、年間発電可能量360万1498㌔㍗時、年間売電収入を1億1344万7000円と試算した。
プラントの主要設備は原料槽、発酵槽、貯留槽、発電機、個液分離ストックヤード、再生敷料切り返し施設などで、概算建設費は第三地区が33億2900万円、姉別地区が16億5900万円となっている。
家畜ふん尿のほか、町内で発生する下水汚泥や水産廃棄物、食品残さなども原料として利用できるか検討する。処理後の液体は液肥として、固体は敷料にして酪農家へ還元。プラントで発生する余剰熱を活用した施設園芸の展開も視野に入れている。
同構想の推進により、1次、2次生産誘発効果を含めて158人の雇用が生まれ、年間20億円弱の経済波及効果が見込まれると見積もる。
両プラントとも2022年度に北電ネットワークへノンファーム型接続を申し込み、23年度は基本設計や運営会社の設立、北電ネットワークとの接続契約締結などを進め、24年度に実施設計を経て着工。27年度には本格稼働して売電を始め、28年度以降は地域電力会社設立に向けた検討に取り掛かるというスケジュールを掲げた。
構想は21年のバイオマス利用可能調査に基づき策定。酪農経営環境の急速な悪化を踏まえ、酪農家の意向などを再確認しながら施設規模や事業実現の可能性を詰める。また北電ネットワーク側からは2施設の整備時期をずらすよう求められていて、実施する場合でもスケジュールはずれ込む見通しだ。