整備計画決定がから50年、市街地で工事始まる
倶知安町内で北海道新幹線の明かり区間工事が本格化する。駅部分を含め、3工区合わせて延長8.9km。市街地での施工が始まることで、槌音(つちおと)をより近くで感じられるようになる。地域からは「やっとここまで来たか」と期待する声が聞こえる。鉄道・運輸機構は27日、倶知安駅高架橋の起工式を現地で開く。
羊蹄トンネルと二ツ森トンネルに挟まれた区間。新函館北斗方面から札幌方面へ岩尾別高架橋工区(2354m)、倶知安駅高架橋工区(3160m)、琴平高架橋工区(3395m)の順で並ぶ。
2022年9月から23年3月にかけて順次入札。施工計画や安全対策の策定、住民への工事説明会、各種行政手続き、作業ヤードの整備を進めてきた。
今後、高架橋や橋梁の杭打ち、基礎、柱、梁、高架橋床版、橋脚の桁構築といった順で施工。高架橋や橋梁の完成後に軌道敷設、電車線など電気関係工事のほか、駅舎新築に取り組む。27年6月末の完成を目指している。
明かり区間の本格着工は一つの節目だ。文字一志町長は「北海道新幹線の整備計画決定から50年。やっと町中の工事が始まる。感慨深い」と話す。
JR倶知安駅前にあるホテルの従業員は「新幹線の開業によって鉄路という選択肢ができる。函館方面、東京からと人の動きが活発になるだろう」と期待。駅前通りの商店主は「スキーリゾートに新幹線と、発展する材料に恵まれている」とした上で、「現状、空き店舗が目立ち空洞化が心配。このチャンスを生かし、新幹線を降り、歩いてもらえるような魅力ある商店街にしなければ」と話す。
新幹線に関連し、駅東・西口での駐車場や都市施設、広場の整備、道道倶知安停線(駅前通り)の無電柱化、駅前を南北に走る町道西3丁目南・北通拡幅など複数の事業が計画されている。
文字町長は「町としてもやることがめじろ押し。時間はそれほどない。関係機関と連携して進める」と気を引き締める。