「急傾斜地工法研究会」を設立 伊丸特殊工事など26社

2023年06月05日 08時00分

施工関係者で相取工法協会も発足 仮設工課題解決へ

 伊丸特殊工事(本社・札幌)など26社は、急傾斜地の土砂崩落など災害防止を目的に「急傾斜地工法研究会」を設立する。施工関係会社で組織する「相取工法協会」も発足。特許技術のITK式相取(あいどり)工法を会員間に開放することで、急傾斜地工事の資機材搬入など仮設工の課題解決を促し、防災・減災や国土強靱化に貢献する考えだ。

 急傾斜地の崩壊防止工法は、排水や植生などで斜面の安定を図る抑制工と、アンカーや土留め柵など構造物を設ける抑止工に大別される。どちらも資機材搬入のための仮設工には移動式のクレーン車やリフト式のケーブルクレーンを使うことが多いが、狭小地では搬入路や設置場所の確保で制限があった。

 ITK式相取工法は、伊丸特殊工事が2006年に「傾斜地における工事の施工方法」で特許を取得した技術。ジブクレーン1台と定置式クレーン2台、H鋼足場で基本構成し、ブーム到達位置の上方に水平の足場を組み、資材を相互に揚げていくことで、上方部の施工箇所に際限なく到達できる。大型クレーンを置けない狭い現場でも、急傾斜地の崩落防止工事を容易にする。

 一般的な急傾斜地工事の作業足場は単管パイプで組み立てるが、同工法はH形鋼(100×100cm)を使うことで強度を向上。投入する大口径ボーリング機材の能力をワンランク上げられることから、作業効率の向上にもつながる。

 急傾斜地工事での資機材搬入など仮設工の課題を解決するため、伊丸特殊工事の中塚卓朗副社長を発起人に急傾斜地工法研究会を設立することとした。正会員21社、賛助会員5社で始動。設計や施工上の課題解決に向け、発注者との意見交換などを通し活動する。同研究会の中から施工に特化した15社で「相取工法協会」も発足。どちらも14日に札幌ガーデンパレスで設立総会を開く。

研究会発起人の中塚副社長

 相取工法で使うジブクレーンは、国土交通省が生産性向上から推奨する定置式水平ジブクレーンに応用可能で、急傾斜地工事以外での水平展開も期待できる。移動式クレーンに比べてCO排出量の削減にもつながるため、国が目指す脱炭素社会にも寄与する。

 急傾斜地は傾斜度30度以上の土地。国は土砂災害防止法を2000年に制定し、崩壊によって相当数の人に危害が生じる恐れのある土地を土砂災害警戒区域として指定する。北海道は23年3月末時点で1万1750カ所ある。

 中塚副社長は「研究会は難工事の多い斜面防止の社会的課題を解決するのが目的で、協会は資機材の安全搬入につながる工法を提案するのが狙い。急傾斜地の災害を防止することで国土の防災・減災に寄与したい」と話している。


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