低温の温泉熱活用へ水素吸蔵合金使いヒートポンプ開発

2015年01月07日 19時17分

 日本データーサービス(本社・札幌)と応用流体技研付属環境流体工学研究所(同)は、比較的温度の低い温泉を数度昇温できる水素吸蔵合金(MH)のヒートポンプを共同開発している。MHが持つ水素吸蔵・放出機能を活用。MHと水素の化学反応で生じる熱のうち、水素を吸収する際に起こる発熱反応で稼働する。システムには特性が異なる2種類のMHを搭載し、システム動力の大半を温泉熱で賄える装置とする考えだ。

 温泉熱エネルギーの再利用は高温度ほど高い熱効率が期待できるが、道内に点在する温泉源は25―42度の源泉が全体の約3割にとどまるという。そこで資源の有効活用に向け、両社はMHを用いたヒートポンプシステムを共同研究。35―50度の温泉を数度昇温させることで利用価値を高める。

 基礎技術を有する同研究所の吉田静男所長と、同所長と古くからの知り合いという日本データーサービスの三船修司副社長らが実用化に向けて注力。制御用電子回路の電力は別だが、ヒートポンプを稼働させる動力の大半を温泉熱で対応して、電源インフラのない環境でも稼働可能なシステムを目指している。ガスなどの排出がない環境性も併せ持つ。

 MHは温度差によって水素と化学反応する性質で、加熱すると水素を放出し、冷却すると水素を吸蔵する。水素吸蔵・放出時に大きな水素圧が生じて発電機、圧縮機などの動力源として利用できる。水素を吸収する際に発熱反応が起こり、水素を放出する場合には吸熱反応が起こるが、MHヒートポンプは反応熱のうち、発熱反応を使う。

 合金を作る金属の組み合わせは多様で、水素量は金属の組み合わせやMHに加える温度などで異なる。MHヒートポンプシステムは、特性が異なる2種類のMHを活用するのが大きな特徴。吉田所長は「システムに最適な合金の設計が(システム開発で)重要な部分」と話し、専門会社によるMH技術をポイントとする。

 MHヒートポンプの機器構成として、2種類のMHをユニット化した装置を3セット想定する。システム専用の大型貯湯タンクは伴わない、初期コストが大きく膨らまない仕組みを考えている。

 基礎技術は2011年に道内の温泉施設で実証済み。温泉場だけでなく工場での利用も想定し、工場排熱を再利用して湯を作る使い方も提案していく。吉田所長は「市場でユーザーの支持を得るには使い勝手の良さも大切」と述べ、製品化の留意点としてパッケージデザインを挙げる。

 パッケージ化は外部発注で対応する予定で、販売・製造も両社ではなく「メーカーとのタイアップが現実的」(三船副社長)と見通す。日本データーサービスは、建設コンサルタントの立場からMHヒートポンプによるエネルギーの地産地消や地域活性化、街づくりなどを見据えている。


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