札幌市は26日、2015年度予算案の概要を発表した。4月に市長選を控えた骨格予算編成で、一般会計は前年度当初比1.4%減の8722億円。主な事業として都心部の違法駐輪対策で新設する西2丁目地下駐輪場や、円山動物園ホッキョクグマ・アザラシ館の着工費を盛り込んだ。道路・街路などの社会基盤整備費は、前年度当初の65%程度となる232億円にとどめている。
全会計総額は前年度当初比0.5%増の1兆5442億5000万円。うち特別会計が8.5%増の3914億3700万円、企業会計が3.5%減の2806億1300万円となっている。経常的な事務事業を中心としたが、地域経済に配慮し、工事の早期発注や平準化のための建設事業費や福祉施策、市民生活関連予算は計上した。
一般会計と特別、企業会計を含めた全会計の建設費は12.2%減の1365億円、このうち一般会計に占める普通建設事業費は25.9%減の778億円にダウンしたが、市長選後の肉付け補正財源として地方交付税50億円分を留保している。
道路・街路、河川、公園の社会基盤整備費は232億円。このうち道路新設改良費に含まれる生活道路や電線類地中化など道路改良費に約57億円、緊急輸送道路などの道路橋梁整備費に約37億円、街路新設改良費に含まれる街路改良費に約56億円を充てている。
工事請負費は一般会計で7.6%減の499億円、特別会計で11.8%減の11億円を確保した。
まちづくり戦略ビジョンに掲げる項目ごとの主な事業を見ると、「暮らし・コミュニティ」では広域型特養老人ホームが定員3施設240人の新築費を計上。旧真駒内小に整備する南部高等支援学校の実施設計費を措置した。子ども・子育て関連では質と量の向上を目的とした新制度スタートに伴い、私立保育整備費補助で18億円余りを予算化する。
「低炭素社会・エネルギー転換」に関しては、西2丁目通の南1条通―南2条通間で地下駐輪場整備の準備工に入る。躯体本体は約80mで、掘削は16年度からの見通し。現在地南側で建て替える駒岡清掃工場は、基本計画策定や環境影響評価手続きに入る。
「都市空間創造戦略」では、2カ年工事となる円山動物園ホッキョクグマ・アザラシ館に着工。規模は展示スペースなどの建物部分がRC造、2階、延べ1280m²で、これ以外の運動場やプールなど屋外部分を含めると、延べ約3500m²に上る。
苗穂駅の移転橋上化事業では、設計や工事に関するJRへの負担金を計上。北4東6周辺地区再開発事業で移転改築する中央体育館については、実施設計の負担金を措置する。規模は基本設計段階でSRC一部S造、3階、延べ1万4300m²を見込む。
優良建築物等整備では、北2西3北地区の越山ビルなどの再開発や、大通東4地区の医療施設新築に伴う補助金をそれぞれ計上。創世交流拠点を先導する北1西1地区再開発は18年秋の供用開始を目指し工事を推進する。
このほか学校改築で、二条小、篠路小、月寒東小に着工するほか、本通小、中の島小、中央中で実施設計、中央小、澄川小、栄西小で基本設計に入る。
また、改正耐震改修促進法で耐震診断が義務化されたホテルや大規模店舗など要緊急安全確認大規模建築物に対する補助制度を拡充し、設計と工事にも補助金を支出する。
道路調査関連では豊平川通延伸に関する技術的検討を継続するほか、清田区の公共交通サービスアップの検討に入る。
リノベーションと耐震化を計画する札幌市資料館については、基本計画策定に取り掛かる。
昨年11月に市が招致を目指すと表明した冬季五輪関連は、一定補正で措置する見通しだ。
特別・企業会計を見ると、土地区画整理特別会計では東雁来第2地区土地区画整理に29億円余りを投入し、宅地造成を推進。高速電車企業会計では地下鉄東豊線の車両更新や南北線高架駅の耐震改修推進などに約193億円を充てる。
水道企業会計は白川第3送水管新設などの水道施設整備が約80億円、配水管布設が約86億円。下水道企業会計は、新川水再生プラザなど処理場10カ所の改築更新や、ポンプ場7カ所の整備に合わせて約91億円、管路布設に73億円余りを配分している。