札幌市は、仮称・札幌博物館の建設候補地を、北1条西12丁目街区に絞り込んだ。この街区には閉館・解体が予定されるさっぽろ芸術文化の館(ニトリ文化ホール)が位置している。
12日に市役所本庁舎で開かれた経済委員会で仮称・札幌博物館基本計画案を提示し、明らかにしたもの。
市は中央区北1条西9丁目のリンケージプラザ5―6階に入居している札幌市博物館活動センターの機能や内容を拡充し、札幌博物館として新設する方針。同センターは9万点以上の資料を収集しながらも、収蔵施設の狭あい化や資料の9割が動植物に偏り他分野とのつながりが不足しているという課題を抱えている。
候補地にあるさっぽろ芸術文化の館は敷地面積が1万1639m²で、規模がSRC造、地下1地上8階、延べ3万930m²。1971年に建設され老朽化が著しいことから、同館の後継施設となる北1西1地区の仮称・市民交流複合施設の完成に合わせて2018年に閉館し、その後解体する予定となっている。
都心部に立地し、集客性や交通利便性、必要な規模確保が見込めることから、この場所を候補に選んだ。
博物館は「北・その自然と人」をテーマに、市民や観光客が札幌の独自性や魅力を学び、楽しめる自然史系博物館とすることを目指し、市内にある他施設との差別化を図る。
同博物館には、札幌の自然史の魅力を伝える「感動伝達領域」、収蔵環境の整備や専門的な調査・研究活動を担う「地域課題解決領域」、市民や関連機関との関係性を深める「つながり創出領域」の3領域を中心事業に据え、整備を推進する考え。
このうち感動伝達領域では常設・企画・特別展示室を中心とする展示エリアや、講義室、実習室を含む普及・交流エリアの整備を見込む。地域課題解決領域では収蔵庫や研究室がある収集・保存エリア、調査・研究エリアを確保。つながり創出領域ではエントランス・交流エリアにミュージアムショップやカフェを設置する構想だ。
施設の概要は、今後展示内容などの詳細を詰めていく中で検討する。規模については、三重県総合博物館や大阪市立自然史博物館といった近年開館・リニューアルした類似施設の延べ床面積が1万―1万7000m²であることから、これらを参考に固めることにしている。