ロシアビジネス未来の会が販路開拓から帰国し報告会

2015年02月26日 19時33分

 道内の中小企業で組織する「北海道ロシアビジネス未来の会」が、ロシア極東での販路開拓から帰国し、25日、北海道経済センターで商談や意見交換の成果を報告した。金属製サイディングがユジノサハリンスクに輸出が決まる一方、高品質な日本製品への関心は高いものの、価格やロシアの認証システム、輸送体制などが課題として浮かび上がった。

 販路開拓に臨んだ一行は、防寒手袋の青井商店(本社・旭川)、防雪柵のノースプラン(同・札幌)、融雪マットの北海道ゴム工業所(同・由仁)、金属製サイディングの北友(同・札幌)、道からサハリンビジネス交流事業を受託するFECマネージメント(同・小樽)、道銀地域総合研究所(同・札幌)などの9人。2月7―13日の日程で、サハリン州のユジノサハリンスク市や沿海地方にあるウラジオストク市の建設会社や行政機関などを巡り、一部は極寒で知られるサハ共和国を訪れた。

 ユジノサハリンスクに輸出する金属製サイディングは、サハリンを代表する企業グループ、フィネコ産業投資コーポレーションが製造メーカーの北友と合意した。フィネコ社が新築する戸建て住宅1棟に同製品を取り付ける。3月初めにも正式契約する運びだ。

 各社とも建設会社と商談を進め、自治体の担当者と意見交換し、製品を売り込み、需要を引き出すと、いずれも日本製に強い関心を示した。しかし韓国製や中国製に比べて値段が高く「まずは金額を出してくれ」が決まり文句だったという。その上、輸出するには国から認証を得る必要があるためハードルは低くない。

 ロシアでは現在、ルーブル安が直撃し、物価が高騰している。中国製が2倍に上がり、日本製は1・5倍にとどまっているため「価格差は縮まりつつあるが、取引するかはこれまでの商習慣などに委ねられている」と報告した。

 ウラジオストクはルーブル安の影響が顕著で、富裕層が外貨投資として高級外車を購入したり、郊外で売り出し中の高級ログハウスを買い求めている。住宅は「北欧仕様で高いものは6000万円。年内に200棟を計画し、軽井沢より立派になる」とした。

 半面、建設会社が常設する展示場などを訪れた参加メンバーの1人は、「当社の製品があったが、担当者は『高くて売れない』と嘆いていた」と話した。現地では日本製の屋根瓦が販売されていた。その理由を聞くと「鳥取のメーカーから船が出ていて2週間で来る。札幌からの輸送ルートはできていない」と答えが返ってきたという。

 厳寒期にマイナス60度まで下がるサハ共和国に出向き、地元の有力者と面会した青井商店の青井貴史専務は「商品で負けることはないが、中国や韓国とは距離、条件が異なり、同じ土俵に立つのは難しい」との実感を語る一方で、「まずは信頼関係の構築が必要だが、納品にこぎ着ければ日本製が席巻する可能性がある」と意欲を見せた。

 FECマネージメントの丹治宏剛社長は「3、4年前の手探りの段階から見れば確実に前進している」と評価し、魅力的な市場開拓に今後も取り組む決意を示した。


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