道立総合研究機構林産試験場が開発したカラマツ乾燥技術を施した木材「コアドライ」の普及が本格的に始まった。道内初の認証材が江別市内で建設中の住宅に採用された。23日には本州への出荷も開始。林産試は住宅の見学会を開き、建築材としての品質の高さをアピールした。
コアドライは資源が充実しつつある道産のカラマツを、建築材として有効活用するために開発された。2段階の乾燥を施すことで、カラマツ特有の割れやすさやねじれやすさを抑える。日本農林規格(JAS)で構造用製材として目視等級の認証を取得。建築材としての十分な強度も備えているという。
見学用に開放された住宅は木の城たいせつ(本社・栗山)が施工を担い、4月ごろの完成、引き渡しを予定している。在来軸組み構法の平屋造りで延べ72m²。間取りは3LDK。105㍉の断熱材を壁に施すことで、熱損失係数を省エネルギー対策等級4に相当する1・762とした。FFストーブ1台で住宅内を全て暖房できるという。
柱として、3mのコアドライを45本、体積にして1・5m³を利用した。苫小牧広域森林組合で全て製材され、栗山町ドライウッド協同組合が同町に保有する乾燥機で9―11月に2回に分けて乾燥させた。
カラマツはわずかに赤みがかった深みのある色が特徴。19日の見学会で説明に当たった林産試普及調整グループの近藤佳秀主査は、「今回の住宅は大壁造りのため柱は全て内装材に覆われてしまうが、デザイナー住宅などで『現し』にして使うのも味わいがある」と話す。
製材者や加工工程に関する情報は全て、トレーサビリティー(生産・流通を情報化し管理できる状況)のシステムで管理。合格品であることを示す認証シールに印刷されたQRコードを、携帯電話などで読み取ると確認できる。必要な材が必要な数量確保されているかなど、綿密な在庫管理を効率的に行っている。
現在、コアドライとして展開しているのは柱材のみだが、林産試は利用拡大を目指しており、4月にも梁への活用に向けた乾燥技術の検討を始める予定だ。道外での採用も決まり、23日から出荷を始めた。
コアドライを供給した栗山町ドライウッド協同組合の門間登理事は今後の普及に向けて「道の北方型住宅に活用してほしい。その後、一般の工務店などにも浸透させられれば」と期待。利用拡大のため「出来上がった建物だけでなく、製造現場も見てもらいたい」と話している。