2015年1月時点の札幌市内の地価動向は、商業地、住宅地ともに2年連続で上昇した。都心商業地は、札幌駅前通で北3条広場と一体的に整備した札幌三井JPビルの竣工などによりにぎわいが顕著となり、北4条西4丁目の「札幌日興ビル」が南1条西4丁目の「4丁目プラザ」を抜き最高価格地となった。上昇率1位は大通東3丁目の「Kビル」で、周辺の人口増を背景にマンションや店舗が増えた創成東地区の勢いを反映した。
市内の調査地点は443地点。内訳は商業地142、住宅地287、工業地14。平均変動率は商業地が前回より0.1ポイント低いプラス1・5となり、平均価格は1m²当たり(以下同)18万1000円と前回から4900円増額。住宅地は0.5ポイント下がったプラス0.7%、平均価格は6万1000円で800円増えたが、いずれも伸びは鈍化している。
商業地は北区が1.5%から3%、東区が0.5%から0.9%、白石区が0.3%から0.7%、厚別区が0.1%から0.3%と上昇。最高価格の札幌日興ビルは、13年にプラスへ転じ、その後も伸びて4.8%、260万円となり、長年最高値を保ってきた大通地区の4丁目プラザを抜いた。
この逆転について、不動産鑑定士の石川明氏は「店舗性の意味で南1条地区の4プラが上というのが30年以上の常識だった」と前置きした上で、「札幌駅前通地下歩行空間(チカホ)ができ、沿道ビルと地下との一体的な開発が進んだことで、店舗性に加えてオフィスとしての需要が高まり、道外資本を呼び込みやすくなっている」と分析。
南1条地区ではドンキホーテを含む南2西3再開発が遅れ気味であるのに対し、札幌駅周辺では越山ビルなどの再開発が進行中。こうした評価も加わり「消費が回復すれば盛り返す可能性はあるが、今の段階では日興が上」(石川氏)との判断に至った。
商業地で上昇率トップのKビルは、周辺の人口増加を背景にマンションや店舗が増え、利便性の高さから事務所用地としての需要が強まったとみられる。2位は札幌駅北口の北7条西4丁目の「北7条SIAビル」でプラス6.8%の102万円、3位はマンション需要が高い北5条西28丁目の「第三福長ビル」でプラス6.7%の23万8000円。
上昇地点は前回より2地点少ない83地点、横ばいが7地点多い42地点、下落が6地点減り14地点となった。このほかの3地点は新設のため、前回との比較はできない。
住宅地については、全体として上昇率が鈍化したものの、中央区では宮の森、円山、創成東の人気が引き続き堅調。北区、東区、白石区、厚別区の上昇率が前回をやや上回り、西区や手稲区では上昇率が鈍化。豊平区や清田区、南区では上昇地点が少なく横ばいとなった。市全体としては上昇地点が前回より5地点少ないながらも144地点と半数を超え、横ばい地点を含めると全地点の9割近くを占める。
上昇率トップは、マンション用地として需要が強い大通西23丁目で、プラス6.9%の26万5000円となり価格順位でも最高。大通西28丁目がプラス6.6%の22万7000円、宮の森3条7丁目がプラス5.7%の12万9000円と中央区が続いている。