道内の森林土木工事で、道産地域材のトドマツを用いたコンクリート型枠用合板の普及が進んでいる。2014年度に総合局・振興局の林務課と森林室は治山工事を中心に特記仕様書に明記し、100現場で約2万5000m²を活用。北海道森林管理局は15年度発注工事から約1万2000m²を目標に適用を開始した。扱い方などでまだ課題があるものの、道は16年度に森林土木以外の工事でも導入を目指していることから、地域材合板の需要はさらに高まることが見込まれる。
コンクリート型枠用合板の材料は、東南アジアなどから輸入したラワン材が主流だ。道や森林管理局は地材地消の観点から、カラマツよりもそりやねじれが少なく、樹液がコンクリート硬化に影響しない、道産トドマツを用いた合板の実証実験を進めた。
その結果、ラワン材と比べて柔らかく、ゆがみやひずみが生じやすいことを確認したが、曲げ剛性試験ではJAS規格の基準値をクリア。さらに2―3回の転用が可能なことなどから、森林土木工事での本格導入を決めた。
総合局・振興局林務課と森林室の14年度発注工事での適用状況を見ると、大半が床固めや谷止め、擁壁の整備で適用。積算面積約3万2000m²に対し、使用面積は転用回数も含み約2万5000m²だった。
使用面積は、日高振興局が5927m²(8現場)で最も多く、これに胆振総合局4078m²(7現場)、宗谷総合局2326m²と続く。道水産林務部は15年度も2万m²台の適用を目標に掲げている。
施工業者からは、道産材合板の調達はさほど難しくないものの、使用感としては「まだ扱いづらい」といった声が多い。道水産林務部が実施したアンケート結果によると、転用回数は1―2回がほとんどだった。
また、ラワン材と比べて柔らかいため、セパレーターの締め付けが難しいことや、塗装が剥げやすいといった指摘が多かった。価格は1枚(1・62m²)で1750円程度と、ラワン材より300―350円ほど割高だ。
道内で唯一、トドマツの合材を製造する丸玉産業(本社・津別)は「普及促進には改良が不可欠」(物流グループ担当者)と話す。性能や価格でラワン材と肩を並べるまでには、まだ課題があるからだ。
ただ、円安が進んでいるため、全て輸入品に頼っているラワン材との価格差が小さくなることも指摘。さらに、乱伐などによりラワン自体が減少していることから、「将来的に調達が難しくなれば、道産材が注目される」と見通す。同社は従来品の性能に近づけるため、開発を続けている。
総合局・振興局林務課と森林室の14年度道産材型枠適用状況は次の通り。(①現場数②使用面積)
◇林務課▽石狩①2②675・3m²▽渡島①11②675・6m²▽桧山①2②432・4m²▽後志①8②467・3m²▽空知①1②435・2m²▽上川①4②286・5m²▽留萌①6②777・5m²▽宗谷①5②2326m²▽オホーツク①1②351・9m²▽胆振①7②4078m²▽日高①8②5927・9m²▽十勝①10②1705m²▽釧路①5②161・6m²▽根室①3②340m²
◇森林室▽渡島東①2②525・7m²▽渡島西①6②1814m²▽後志①3②852・5▽空知①4②1174・9m²▽上川南部①1②130・9m²▽上川北部①2②518・2m²▽留萌①1②93・1m²▽オホーツク東部①1②147・5m²▽オホーツク西部①1②176・8m²▽胆振①4②935・3m²▽日高①1②13・2m²▽十勝①1②158・7m²