道内専門工事業者、3年で7割近くが賃上げ-完工高は4割で増加

2015年06月03日 19時28分

 2014年に建設系技能者の平均賃金単価を3年前と比べて引き上げた(引き上げ予定を含む)道内専門工事業者が66.7%に上ったことが、道経済部の調査で分かった。完工高は43%で増えた。同部は、完工高の増加に伴い給与面での処遇改善が進んでいるとみている。一方、社会保険の加入状況は、国が14年8月に始めた未加入対策が浸透していることがうかがえた。(初登録時の見出しが、完工高に関して「4割増」となっていました。「4割で増加」に訂正しました)

 道経済部が技能人材定着化事業として、建設産業専門団体北海道地区連合会の会員団体に属する企業や事業所3917者を対象に、14年10―12月にアンケート調査を依頼。1134者(29%)が回答した。

 回答者の建設業許可業種は電気38.4%、管22.6%、土木16.6%など。従業員数は平均23人で、常用の技能者数は同15・6人、期間従事技能者数は同4・2人だった。

 直近の決算と3年前の完工高を比べると、「2割未満の増加」(25%)と「2割以上の増加」(18%)を合わせた「増加」は43%に上った。

 3年前と比べた技能者の平均賃金単価は「1割未満引き上げた(引き上げ予定を含む)」が37.7%で最多。これに「1割以上―2割未満引き上げた(同)」(24.5%)と「2割以上引き上げた(同)」(4.5%)を足すと、66.7%が引き上げたか引き上げの予定となっている。

 その理由としては「周りの実勢価格が上がっていて、引き上げなければ必要な労働者を確保できない」が24.3%で最も多く、次いで「受注量増加など業績が好調のため、以前より賃金に回せる資金を確保できるようになった」の21%となった。

 一方で、引き上げない理由は「経営の先行きが不透明で賃金を上げられない」(11.1%)、「発注者や元請けからの請負価格が低く、賃金引き上げ費用を捻出できない」(8.5%)などが多かった。

 このほか、社会保険の加入状況については、雇用保険に93%、健康保険に86.8%、年金保険に84.4%が加入。未加入業者を対象とした質問では、雇用保険で50%、健康保険で37.5%、年金保険で47.4%が「今後も加入しない」と答えた。

 「今後加入する」と答えた理由を聞くと、「未加入だと元請けから受注できない」が30.6%で最多。国が元請けと、施工体制台帳の作成義務がある下請け契約額3000万円以上の1次下請けについて、未加入業者を直轄工事から排除する取り組みの効果が表れている。

 併せて、若手(20歳未満と20歳代)の定着状況を尋ねた。「おおむね良い」は32.4%、「悪い」は31.2%だった。若手が離職する理由としては「作業環境が厳しい」(30.4%)、「収入が低い」(25.8%)、「職場の人減関係」(22.8%)などが多かった。

 36.8%が定着に向けた取り組みをしている。「資格取得などの費用支援」が69.8%で最多。課題としては「多忙で時間がない」が41.4%で最も多かった一方、「何をしたらよいか分からない」が7.8%あった。定着状況を「悪い」とした者ほど「何をしたらよいか分からない」との回答が多く、同部はこれも定着状況を悪化させる要因の一つとみている。


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