旭川市は、所有する建築物の老朽化や耐震性の状況を把握するために「旭川公共施設白書」をまとめた。市有施設の現状保有量を維持した場合、今後40年間に掛かる改修や建て替えなどの対策費用は年平均114億円と試算。厳しい財政状況の中、人口規模に見合った総量の見直しが必要だと説いている。この白書などを基本材料としながら、総務省が求めている公共施設等総合管理計画を2016年3月末までに策定する方針だ。
管財課が中心となって初めて作成。いわゆる箱物を対象とし、上下水道や道路、橋梁などのインフラ施設は含んでいない。14年7月現在で保有する670施設、総延べ床面積115万m²を対象にしている。
経過年数を見ると、全体の47%が建築後30年を超え、大規模修繕や設備更新の時期を迎えている。予備軍となる20年以上30年未満は28%だった。用途別では、子育て支援施設(市立保育所や児童センター)や行政系(庁舎や消防出張所、土木事業所)の老朽化が目立つ。
耐震化は医療と保健・福祉施設、公営住宅が全て新耐震基準(1981年導入)に適合している。逆に行政系や子育て支援施設では、基準に適合していないケースも見受けられる。
このうち子育て支援施設に焦点を当てると、経過年数50年以上は西神楽保育園や旭正季節保育所など6施設。全体の75%が30年以上経過しているほか、大半は木造のため耐用年数に近づいた施設が多い。さらに、通年制保育園は新耐震基準への対策が遅れているという。
白書では、人口減少時代を見据えた規模の最適化が課題と提言。通年制保育園の代替として、民間事業者による認定こども園を充実させることなどが鍵を握るとしている。
更新費用に年平均で114億円掛かるのに対し、過去5年間の施設整備費は50億円。全てを改修・建て替えで対応するのは難しく、役割や利用状況などを踏まえながら最適配置していくことが重要だと説いている。
市は白書の取りまとめなどを基に、15年度内に公共施設等総合管理計画を策定する考え。策定委員会は市職員15人で構成し、5月に初会合を開催。市内14地区のまちづくり推進協議会と意見交換したり、パブリックコメントを募集しながら最終案をまとめる。