札幌市の秋元克広市長1期目最初となる肉付け補正予算の編成作業が大詰めを迎えている。世界に魅力を発信するためのまちづくりに向けた政策予算と位置付ける中、都心部再編に関連する注目事業としては、塩漬け状態となっている北5西1地区街区の土地利用を含む札幌駅交流拠点再整備の基本構想策定費や、高速道路の札幌北インターチェンジ(IC)と札幌都心をじかに結ぶ都心アクセス道路の調査費が盛り込まれる見込み。どちらも市長公約に掲げる事業で、2030年とされる北海道新幹線札幌延伸や、空港とのアクセス向上を見据える。再開発を含む都心再生の動きを後押ししそうだ。
札幌駅交流拠点再整備の対象区域は、札幌駅南口街区(北5西1―北5西4)や北5東1街区を含むJR札幌駅周辺。12年に有識者で組織する札幌駅交流拠点再整備構想検討委員会(小林英嗣委員長)が構想案をまとめ、市に提言した。
北5西1街区はかつて道立劇場の候補地に浮上したこともあったが、道が財政難を理由に断念。現在は駐車場として暫定的に活用されている。北5西2街区には1978年に竣工した札幌エスタとバスターミナルがあり、北5東1街区は民間の駐車場として利用されている。 構想案では新たな交流拠点としての機能導入を目指す北5西1街区と北5西2街区の一体的な再整備などを盛り込み、北海道・札幌の玄関口としての交通結節点機能の強化を求めている。北海道新幹線の早期開業を実現する上でも、おおむね10年でのまちづくり具体化を目指すよう提言している。
具体的な取り組みイメージでは、北5西1街区と北5西2街区、北5東1街区は都市機能と交通機能が一体となった札幌の顔を形成。ポテンシャルを最大限に発揮するため、商業や業務、宿泊、アミューズメントなどの高次都市機能の導入を図るとともに、北5西1街区側に新幹線連絡口の設置を検討することなどを盛り込んでいる。
都心アクセス道路は、札幌商工会議所を中心とする経済界が長年熱望しているもの。最も近い札幌北ICでも都心から約4㌔離れ、冬場や混雑時には30分以上を要する現状を踏まえ、北3条通交差点以南の創成トンネルのように、創成川(国道5号)の地下空間を活用することなどを提起している。
調査対象区間は約4・4㌔で北端は札幌新道との交差点、南端は北3条通との交差点。実現すれば1000億円規模に迫る巨大事業だ。技術的には札幌北ICがある北34条交差点との接続が難しいとされている。整備主体は未定だが、国が実施する公算が大きい。
市もこれまで機能強化を検討してきたが具体策の議論には至らず、国の予算でも調査費は計上されていない。今回初めて市が調査費を計上。まずは独自に現状の課題や整備効果を調べることにしている。