道の肉付け補正予算案、公共・投資的事業には763億円

2015年06月11日 19時14分

 道は11日、2015年度の肉付け補正予算案を発表した。一般会計は2731億300万円で、骨格年の2定補正額としては11年度の2760億7500万円に次ぐ過去2番目の規模。食や観光など知事選の公約に掲げた項目の92%を予算化する。公共事業と投資的事業を合わせた投資関連予算は762億7700万円で、単独の特別対策に133億1000万円を追加。施設整備では、札医大の付属病院増築と教育研究施設棟Ⅲ改築の着工費、旭川肢体不自由児総合療育センターの全面改築に向けた設計費を計上した。16日開会の第2回定例道議会に提案する。

 高橋はるみ知事4期目初の政策予算を盛り込んだ2定補正案は、特別会計が28億8200万円で、総額は2759億8600万円。当初と合わせると、一般会計は前年度当初比3.1%増の2兆8021億2700万円、特別会計は4.9%増の6415億1200万円となり、総額は3.4%増の3兆4436億4000万円に上る。

 一般会計補正額が過去2番目の規模となったのは、税率引き上げに伴う地方消費税清算金の増加や高齢化の進行による医療給付費の増大などで、義務的経費が17%増の6276億円に膨らんだことが主な要因。保健福祉関係の義務的経費は過去最多の3483億円となっている。

 歳入は消費税率引き上げにより、自主財源の柱である道税が522億円増えた。歳出は投資関連予算に追加する762億7700万円を当初と合わせると、全会計で1.6%増の3168億9200万円、一般会計で1.5%増の3087億6500万円となる。投資関連予算追加分の7割は、骨格編成で当初予算に計上しなかった国直轄事業負担金の下半期(10―3月)支払い分となる。

 特別対策事業には133億1000万円を措置。補正後は256億1900万円となり、4.1%、10億円の増加となる。国直轄事業負担金の一部を計上留保することで歳入と歳出を合わせるなど、道財政は依然として厳しい状況だが、自民党など道議会会派からの申し入れを踏まえ、特別対策事業を上積みして中小建設業者向けの発注量を確保した。

 公共関連単独事業は前年度当初と同じ101億9900万円。札医大の整備など施設等建設事業は0.2%増の36億2800万円を計上する。

 高橋知事は2定補正で、「経済・活力」「子育て・安心」「人財・継承」の3つを重点政策に据えて関連施策を予算化。人口減少の危機突破と、活力ある地域社会、アジアの先進拠点として世界に輝く北海道の実現を目指す。

 重点政策ごとの主な施策を見ると、経済・活力はASEAN地域との交流支援拠点をシンガポールに設置する費用や、16年3月に開業する北海道新幹線をPRする事業など、公約に掲げた道産食品輸出額1000億円と外国人観光客300万人の達成に向けた取り組みが並んだ。大樹町を念頭に、航空宇宙分野の研究開発や実験の道内への誘致活動に新規で取り組む。

 子育て・安心では、結婚を希望する独身男女へのサポートなど人口減少対策を盛り込んだ。また、安全で強靱(きょうじん)な北海道づくりに向けた防災・減災対策の推進やバックアップ拠点機能の強化などを展開。土砂災害の防止では、研修会の開催を通して市町村職員との連携を強化するとともに、関係住民に土砂災害防止の普及啓発に新たに取り組む。

 3つ目の重点政策である人財・継承では、女性の起業・就業促進や自立に向けた支援体制を整備するほか、アジアの環境首都を目指し、中小水力を活用した発電へのESCO事業導入可能性調査など省エネルギー・新エネルギーに関する7つの新規事業を展開する。

 高橋知事は11日の記者会見で「実質公債費比率は、一定以上の金利を前提に試算した場合でも、危険水域の25%を下回る形で、今後10年ぐらいは推移すると想定される」と述べ、財政の健全化が着実に進んでいることを強調。「引き続き中長期的に財政再建をしながら、めりはりのある政策予算を付けたい」との考えを示した。


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