北海道商工会議所連合会は、「暮らし・産業を支える社会資本整備に関する提言」をまとめた。北海道新幹線札幌延伸や冬季五輪招致を道内経済の活性化に結び付けるには、当面の課題解決につながる社会資本の整備に計画的に取り組む必要があると指摘。第2青函トンネル建設や新幹線の旭川延伸、訪日外国人(インバウンド)の増加を見据えた空港機能の強化が求められるとしている。
11日、札幌市内で開いた通常総会で明らかにした。昨年6月にまとめた「北海道成長戦略ビジョン」に基づく内容で、策定に際しては北海道建設業協会の意見を取り入れた。全国を上回るペースで人口減少が進む現状を踏まえ、経済を持続的に成長させる上で必要となる社会資本整備は何か考えた。
提言では、2030年に予定される新幹線の札幌延伸や冬季五輪の実現を見据え、実施が急がれる社会資本整備を「当面する課題の解決につながる事業」と「将来の北海道にとって必要な事業」とに分けた。
課題解決のための事業としては、高速道路を活用した救急医療ネットワーク整備、釧路・根室、網走、紋別、稚内、浦河、広尾といった主要な港を結ぶ高速道路網の拡充、札幌北IC(インターチェンジ)と札幌都心間のアクセス道路整備、丘珠空港の機能拡充、同空港と高速道路とのアクセス強化などを挙げた。農水産品の備蓄拠点を整備し、市況に応じて出荷できるようにする体制づくりや、北極海航路に対応できる港湾機能拡充の必要性にも触れた。
一方、将来のための事業では、新幹線を活用した高速ネットワークの確立と高速化、既存インフラを生かした物流の効率化、道内航空ネットワークの再整備、水素による電力の安定供給を柱とした。
具体的には、函館駅や新千歳空港への新幹線直接乗り入れや、貨物列車や夜行列車などを通す第2青函トンネルの整備、今ある青函トンネルの新幹線専用線としての再整備、インバウンドのさらなる増加を見据えた新千歳空港国際線ターミナル増設、丘珠空港の滑走路延長とジェット化対応、最新鋭の水素発電施設整備などを盛り込んだ。
道商連は来週中にも、提言の中身をホームページで見られるようにする。7月中に国土交通省や道など関係する機関に提出する。