八雲町は13日、町道の鉛川温泉線終点にあるオボコ山の家に通じる丸太製の鉛川5号橋を、函館高専から譲渡された木製トラス橋に架け換えた。解体を前提に学校敷地内で保管されていた研究教材が、実用の土木構造物として真価を発揮することになった。
木製のワーレントラス橋で、大小2種類の角材で構造材や床版を構成し、連結部には鋼板やボルトを用いている。函館高専の平沢秀之教授が2009年度に生徒と同敷地内にあった橋台に合わせ橋長10m、幅員1・2mで設計・製作。13年度まで荷重によるたわみ、強度や色の経年変化などを研究し、14年度以降は解体する方向で保管してきた。
一方、山の家を管理する八雲ワンダーフォーゲルの鈴木譲代表は、劣化が激しい丸太橋の架け換えが必要と判断。同橋の意匠に惹かれ平沢教授に相談したところ、調査研究の役割は終えているとして譲渡に快諾を得た。
現地では小沢建設(本社・八雲)が橋台のコンクリートを打設し、分解して運ばれた上部を組み立て直して13㌧クレーンで架設。「コロカムイの橋」と命名された。
鈴木代表は「橋の部材のように人の心が重なり合って架かった宝物」と関係者に感謝。平沢教授は「橋長も幅員も川にぴったりで、巡り合わせを感じる。実験だけで使命を終えず、親しみを持って使われることになりうれしい」と話した。
研究開発時から協力してきた戸沼岩崎建設(本社・函館)の戸沼淳社長は「人々の善意と縁で架かった橋」と評し、供用を喜んだ。