国土強靭化民間先導事例集に岸本組の防災訓練が掲載

2015年07月02日 19時15分

 岸本組(本社・美唄)が地域貢献活動の一環として始めた地域住民参加型の防災訓練が、内閣官房が6月に公表した国土強靱(きょうじん)化に関する民間の取り組み事例集に掲載された。ゲーム形式で取り組める体験型プログラムとし、自分の身は自分で守る「自助」や助け合う「共助」の意識を醸成するなど、地域住民の防災・減災意識向上に貢献している点が評価された。併せて、地域の安全・安心を守る建設業のアピールにも一役買っている。

 この事例集は、国土強靱化に関する取り組みを検討する事業者向けに作成した。主に公募で集めた民間の先導的な活動241件を紹介。内閣官房のホームページで公開している。

 岸本組の取り組みは、レジリエンス(強靱化)教育の例として、道内建設業者で唯一、紹介されている。

 2012年度から毎年実施している防災訓練には、主に美唄市内の児童が参加。バケツリレーや土のう積み体験のほか、物干しざおと毛布、Tシャツで作った簡易担架に人を乗せて運ぶことで、身近な物を活用した災害時の対応を学べるようにするなど、楽しみながら取り組めるゲーム形式の体験型プログラムを展開している。

 訓練に併せて建設機械の試乗体験コーナーを設けるなど、建設業の仕事に対する理解度向上も図っている。

 ブルーシートや土のう袋、消火器、カラーコーンなど訓練に使う備品は、同社が普段から現場で利用しているものを活用。国土強靱化のポイントである「平時の活用」に合致している点も評価された。

 美唄市や地元の警察、消防から協力を得て、2年目には参加人数が100人を突破。開催場所や訓練内容などは毎年変えていて、4年目の15年度は児童だけでなく、対象範囲を市民全体に広げる。多くの市民に参加してもらえるようPR方法を工夫したり、市内の他団体などとも連携して取り組む考え。

 東日本大震災を契機に防災への取り組みが注目されている。防災訓練に対する市民の関心が低いと考え、北海道開発局から受注した市内の道路工事現場で地域貢献活動の一環として、近隣の小学校に通う児童を対象に始めたことがきっかけ。

 岸本友宏社長は「美唄は災害が少ない地域だが、いつどこで起こるかわからない。訓練を通じて、災害に対する心構えを持ってほしいのと、身近な物で自ら身を守る方法を覚えてほしい。建設業の仕事のアピールにもつながれば」と話す。将来的には市内の建設業界を挙げた活動としたい考えだ。

 道内からはこのほか、アクサ生命保険(本社・東京)が事業継続体制の強化を目指して札幌本社を設置した事例や、災害が起きても入居企業が事業を継続できるよう必要な設備を設けた三井不動産(同)などの札幌三井JRビルディング、北海道森林土木建設業協会が道との協定に基づき実施している森林パトロールの3事例が紹介されている。


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